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May 13, 2010 Vol. 362 No. 19

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ビスホスホネート製剤と大腿骨転子下骨折・骨幹部骨折
Bisphosphonates and Fractures of the Subtrochanteric or Diaphyseal Femur

D.M. Black and Others

背景

最近の症例報告と症例集積研究の結果から,ビスホスホネート製剤の使用と関連する大腿骨骨幹部の非定型骨折のサブグループの存在が明らかになっている.人口ベースの研究ではこの関連を支持する結果は得られていない.この関連について,これまで無作為化試験では検討されていない.

方 法

ビスホスホネート製剤に関する 3 つの大規模無作為化試験である,骨折介入試験(FIT),FIT 長期延長(FLEX)試験,ゾレドロン酸の年 1 回の投与による転帰・骨折リスクに関する試験(HORIZON-PFT)の結果を用いて二次解析を行った.小転子下部および遠位骨幹端フレア上部での骨折(大腿骨転子下骨折と大腿骨骨幹部骨折)の確認と非定型的特徴の評価を行う目的で,大腿骨頸部骨折と大腿骨骨折が発生した全例の診療録と X 線画像(入手可能な場合)を再検討した.各試験について,大腿骨転子下骨折と大腿骨骨幹部骨折のハザード比を算出した.

結 果

これらの試験に参加した計 14,195 例の女性で発生した,大腿骨頸部骨折または大腿骨骨折の診療録 284 件を再検討した.10 例で発生した 12 件の骨折が転子下骨折または骨幹部骨折と分類され,複合発生率は 10,000 人年あたり 2.3 であった.プラセボと比較したハザード比は,アレンドロン酸を使用した FIT では 1.03(95%信頼区間 [CI] 0.06~16.46),ゾレドロン酸を使用した HORIZON-PFT では 1.50(95% CI 0.25~9.00),アレンドロン酸の使用を継続した FLEX 試験では 1.33(95% CI 0.12~14.67)であった.リスクの増加は有意ではなかったが,信頼区間の幅は大きかった.

結 論

ビスホスホネート製剤の使用に関連する大腿骨転子下骨折・骨幹部骨折の発生は非常にまれであり,10 年ものあいだ投与された女性においても低かった.使用に関連するリスクの有意な増加はみられなかったが,最終的な結論を出すには今回の研究の検出力は不十分であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1761 - 71. )