The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 4, 2010 Vol. 362 No. 5

再発性多発性硬化症に対するフィンゴリモド経口投与とインターフェロン筋肉注射の比較
Oral Fingolimod or Intramuscular Interferon for Relapsing Multiple Sclerosis

J.A. Cohen and Others

背景

スフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬であるフィンゴリモド(fingolimod)は,リンパ節からのリンパ球放出を阻害する.多発性硬化症患者を対象としたフィンゴリモドの第 2 相試験で,臨床的有効性と画像上の改善が示された.

方 法

12 ヵ月間の二重盲検ダブルダミー試験において,再発寛解型多発性硬化症患者で,最近 1 回以上再発した 1,292 例を,フィンゴリモド 1.25 mg/日を経口投与する群,0.5 mg/日を経口投与する群,インターフェロン β-1a(確立された多発性硬化症の治療法)を30 μg/週 筋肉注射する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは年間再発率とした.主要副次的エンドポイントは,12 ヵ月の時点における MRI の T2 強調画像上の新規病変・拡大病変数と,3 ヵ月以上持続する障害の進行とした.

結 果

1,153 例(89%)が試験を完了した.年間再発率は,両フィンゴリモド群でインターフェロン群よりも有意に低く,1.25 mg 群 0.20(95%信頼区間 [CI] 0.16~0.26),0.5 mg 群 0.16(95% CI 0.12~0.21)に対し,インターフェロン群 0.33(95% CI 0.26~0.42)であった(いずれの比較も P<0.001).MRI 所見は主要エンドポイントの結果を支持するものであった.障害の進行には 3 群間で有意差は認められなかった.フィンゴリモド 1.25 mg 群では,致死的な感染症が 2 例(播種性の原発性水痘帯状疱疹と単純ヘルペス脳炎)認められた.フィンゴリモド群ではその他の有害事象として,非致死的ヘルペスウイルス感染症,徐脈および房室ブロック,高血圧,黄斑浮腫,皮膚癌,肝酵素上昇が認められた.

結 論

この試験により,多発性硬化症患者の再発率と MRI 上の転帰に関する有効性について,フィンゴリモド経口投与のインターフェロン β-1a 筋肉注射に対する優越性が示された.1 年以上の治療の安全性と有効性を評価するには,さらに長期の試験を行う必要がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00340834)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 402 - 415. )