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February 4, 2010 Vol. 362 No. 5

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HIV-1/HSV-2 感染者からの HIV-1 伝播に対するアシクロビル
Acyclovir and Transmission of HIV-1 from Persons Infected with HIV-1 and HSV-2

C. Celum and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染者のほとんどは単純ヘルペスウイルス 2 型(HSV-2)にも感染しているが,この HSV-2 は再活性化することが多く,血漿中および性器中の HIV-1 量の上昇と関連している.HSV-2 を抑制する治療は,HSV-2 の再活性化の頻度を低下させるだけでなく HIV-1 量も減少させる.このことは,HSV-2 の抑制が HIV-1 の伝播リスクを低下させる可能性を示唆している.

方 法

無作為化プラセボ対照試験において,カップルの片方だけが HIV-1 血清反応陽性(CD4 数 250 個/mm3 以上)で,HSV-2 にも感染しており,登録時に抗レトロウイルス治療を受けていなかったカップルを対象に,HSV-2 抑制療法(アシクロビル 400 mg を 1 日 2 回経口投与)を行った.主要エンドポイントは,HIV-1 未感染パートナーへの HIV-1 の伝播とした.伝播はウイルス遺伝子の塩基配列決定によって判定した.

結 果

アフリカの 14 地域で 3,408 組のカップルを登録した.HIV-1 既感染パートナーの 68%は女性で,ベースラインの CD4 数の中央値は 462 個/mm3 であった.無作為化後に発生した 132 例の HIV-1 セロコンバージョン(発生率 2.7 例/100 人年)のうち,84 例はウイルス遺伝子の塩基配列決定によりカップル内の伝播であることが示され,うち 41 例はアシクロビル群,43 例はプラセボ群であった(アシクロビルのハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.60~1.41,P=0.69).アシクロビルによる抑制療法により,HIV-1 の平均血漿中濃度は 0.25 log10 コピー/mm 低下し(95% CI 0.22~0.29,P<0.001),HSV-2 陽性の性器潰瘍の発症は 73%減少した(リスク比 0.27,95% CI 0.20~0.36,P<0.001).24 ヵ月間この試験への参加を継続したのは,HIV-1 既感染パートナーの 92%,HIV-1 未感染パートナーの 84%であった.処方された試験薬の服薬遵守率は 96%であった.アシクロビルに関連する重篤な有害事象はみられなかった.

結 論

アシクロビルの連日投与によって,血漿中 HIV-1 RNA 量は 0.25 log10 コピー/mm 減少し,HSV-2 による性器潰瘍の発症は 73%低下したものの,HIV-1 の伝播リスクは低下しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00194519)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 427 - 439. )