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March 4, 2010 Vol. 362 No. 9

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ショックの治療におけるドパミンとノルエピネフリンの比較
Comparison of Dopamine and Norepinephrine in the Treatment of Shock

D. De Backer and Others

背景

ドパミンとノルエピネフリンは,いずれもショックの治療における第一選択の昇圧薬として推奨されている.しかしどちらに優位性があるかについては議論が続いている.

方 法

多施設共同無作為化試験において,ショック状態の患者を,血圧の回復と維持のための第一選択の昇圧薬として,ドパミンを投与する群とノルエピネフリンを投与する群のいずれかに割り付けた.ドパミン 20 μg/体重 kg/分,ノルエピネフリン 0.19 μg/kg/分でも血圧を維持できない場合は,ノルエピネフリン,エピネフリン,バソプレシンのいずれかを非盲検で追加投与できることとした.主要転帰は無作為化後 28 日の死亡率とし,副次的エンドポイントは臓器補助療法を要しなかった日数,有害事象の発生などとした.

結 果

対象患者 1,679 例のうち,858 例をドパミン群に,821 例をノルエピネフリン群に割り付けた.ベースラインの患者背景は両群で類似していた.28 日後の死亡率には両群間で有意差は認められなかった(ドパミン群 52.5%,ノルエピネフリン群 48.5%;ドパミンのオッズ比 1.17;95%信頼区間 0.97~1.42;P=0.10).しかし不整脈の発生数は,ドパミン群のほうがノルエピネフリン群より多かった(207 件 [24.1%] 対 102 件 [12.4%],P<0.001).サブグループ解析では,ドパミン投与はノルエピネフリン投与と比較して,心原性ショック 280 例における 28 日後の死亡率の上昇との関連が認められたが,そのような関連は敗血症性ショック 1,044 例,循環血液量減少性ショック 263 例では認められなかった(Kaplan-Meier 法による P 値は心原性ショックについて 0.03,敗血症性ショックについて 0.19,循環血液量減少性ショックについて 0.84).

結 論

ショックに対し,第一選択の昇圧薬としてドパミンを投与した患者とノルエピネフリンを投与した患者とで,死亡率に有意差はみられなかったが,ドパミン投与には有害事象の増加との関連が認められた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00314704)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 779 - 89. )