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March 11, 2010 Vol. 362 No. 10

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腫瘍関連マクロファージと古典的ホジキンリンパ腫患者の生存期間
Tumor-Associated Macrophages and Survival in Classic Hodgkin's Lymphoma

C. Steidl and Others

背景

ホジキンリンパ腫の治療法は進歩しているにもかかわらず,いまだに患者の約 20%が疾患の進行により死亡している.現在の予後予測モデルは精度が不十分であり,国際予後スコア(International Prognostic Score)を改善するための臨床的に意義のあるバイオマーカーは確立されていない.

方 法

古典的ホジキンリンパ腫患者の診断的リンパ節生検時に得た凍結検体 130 個を,遺伝子発現プロファイリングを用いて解析し,転帰と関連する細胞特性について検討した.その知見を,患者 166 例から成る独立したコホートにおいて,免疫組織化学的解析により確認した.

結 果

遺伝子発現プロファイリングにより,腫瘍関連マクロファージの遺伝子特性と一次治療失敗に有意な相関が認められた(P=0.02).独立したコホートでは,CD68+ マクロファージ数の増加と無増悪生存期間の短縮(P=0.03),自家造血幹細胞移植後の再発率の上昇(P=0.008)に相関が認められ,その結果,疾患特異的生存期間が短くなった(P=0.003).多変量解析においてこの予後不良因子は,国際予後スコアと比較して疾患特異的生存期間と強い相関を示した(P=0.003 対 P=0.03).限局期の患者で CD68+ 細胞数の増加が認められなければ,現在の治療法で長期疾患特異的生存率 100%の患者サブグループに分類される.

結 論

古典的ホジキンリンパ腫患者において,腫瘍関連マクロファージ数の増加は生存期間の短縮と強い相関を示したことから,リスク層別化のための新しいバイオマーカーとなる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 875 - 85. )