September 23, 2010 Vol. 363 No. 13
喘息に関するコンソーシアムベースの大規模ゲノムワイド関連解析
A Large-Scale, Consortium-Based Genomewide Association Study of Asthma
M.F. Moffatt and Others
喘息に対する感受性は遺伝子と環境の影響を受けることから,関連遺伝子により治療介入の経路が示される可能性がある.喘息のサブタイプの同定や,血清総 IgE 濃度上昇などの中間表現型の原因的関連の確認に,遺伝的危険因子が有用である可能性がある.
ゲノムワイド関連解析において,医師に喘息と診断された 10,365 例と,先祖でマッチさせた非罹患の対照 16,110 例の遺伝子型決定を行った.変量効果プール解析を用いて,全対象集団と,小児喘息(16 歳未満で喘息発症),後期発症喘息(16 歳以上で発症),重度の喘息,職業性喘息を有する患者のサブグループにおいて関連を検討した.
喘息と次の一塩基多型とのあいだにゲノムワイドに有意な関連が認められた;IL1RL1/IL18R1 と関連している第 2 染色体上の rs3771166(P=3×10-9),HLA-DQ と関連している第 6 染色体上の rs9273349(P=7×10-14),IL33 をフランキングしている第 9 染色体上の rs1342326(P=9×10-10),SMAD3 に存在している第 15 染色体上の rs744910(P=4×10-9),IL2RB に存在している第 22 染色体上の rs2284033(P=1.1×10-8).17q21 染色体上の ORMDL3/GSDMB 遺伝子座.これらに小児喘息との特異的関連が認められた(rs2305480,P=6×10-23).血清総 IgE 濃度とゲノムワイドに有意な関連を示したのは HLA-DR のみで,IgE 濃度と強く関連している遺伝子座は喘息とは関連していなかった.
喘息は遺伝学的に不均一である.少数の共通の対立遺伝子が,全年齢層で喘息リスクと関連している.関連遺伝子は,上皮損傷と,獲得免疫系,気道炎症とを結び付ける役割を担っていることが示唆される.ORMDL3/GSDMB 遺伝子座の変異体は,小児喘息にのみ関連していた.血清総 IgE 濃度の上昇は喘息の発症にほとんど役割を果たしていない.(欧州委員会ほかから研究助成を受 けた.)