The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 8, 2010 Vol. 363 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ゾタロリムス溶出冠動脈ステントとエベロリムス溶出冠動脈ステントの比較
Comparison of Zotarolimus-Eluting and Everolimus-Eluting Coronary Stents

P.W. Serruys and Others

背景

ゾタロリムス(zotarolimus)やエベロリムスを放出する新世代の冠動脈ステントは,再狭窄のリスクを低下させることが示されている.しかし,米国食品医薬品局(FDA)により推奨される,前向きに判定するエンドポイントに基づいた場合,この 2 種類のステントの有効性と安全性に差があるかどうかは明らかになっていない.

方 法

除外基準を最小限とした多施設共同非劣性試験において,患者 2,292 例をゾタロリムス溶出ステント群とエベロリムス溶出ステント群のいずれかに無作為に割り付けた.患者の 20%を無作為に抽出し,13 ヵ月の時点で血管造影を再施行した.主要エンドポイントは標的病変の治療失敗とし,12 ヵ月以内の心臓を原因とする死亡,全心筋梗塞(非標的血管に明らかには起因しないもの),臨床的に適応とされた標的病変血行再建の複合と定義した.副次的な血管造影上のエンドポイントは 13 ヵ月の時点でのステント内狭窄率とした.

結 果

患者の 66%にステント留置の除外基準が 1 つ以上存在した.主要エンドポイントに関して,ゾタロリムス溶出ステントはエベロリムス溶出ステントに対して非劣性を示し,発生率はそれぞれ 8.2%と 8.3%であった(非劣性について P<0.001).心臓を原因とする死亡,全心筋梗塞,血行再建術施行の発生率について両群間に有意差はみられなかった.ステント血栓症の発生率は,ゾタロリムス群 2.3%,エベロリムス群 1.5%であった(P=0.17).ゾタロリムス溶出ステントは,ステント内狭窄率(±SD)についても非劣性を示し(ゾタロリムス群 21.65±14.42% 対 エベロリムス群 19.76±14.64%,非劣性について P=0.04).ステント内の遠隔期内径損失は,ゾタロリムス群 0.27±0.43 mm であったのに対し,エベロリムス群 0.19±0.40 mm であった(P=0.08).有害事象の発生率に両群間で有意差はみられなかった.

結 論

13 ヵ月の時点で,最小限の除外基準によって登録した患者集団において,新世代のゾタロリムス溶出ステントは,エベロリムス溶出ステントに対し非劣性を示した.(ClinicalTrials.gov 番号: NCT00617084)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 136 - 46. )