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July 15, 2010 Vol. 363 No. 3

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抗好中球細胞質抗体関連腎血管炎に対するリツキシマブとシクロホスファミドの比較
Rituximab versus Cyclophosphamide in ANCA-Associated Renal Vasculitis

R.B. Jones and Others

背景

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎に対するシクロホスファミドによる導入レジメンは,患者の 70~90%に有効であるが,死亡率,有害事象発生率が高くなることに関連している.リツキシマブをベースとした治療による難治性 ANCA 関連血管炎患者の寛解率は 80~90%に達しており,シクロホスファミドレジメンよりも安全である可能性がある.

方 法

ANCA 関連血管炎に対する導入療法として,リツキシマブとシクロホスファミドを比較した.ANCA 関連血管炎と新たに診断され,腎病変をきたしている患者 44 例を,標準的なグルココルチコイドレジメンに加え,リツキシマブ 375 mg/m2 体表面積/週の 4 週間投与とシクロホスファミド静注パルス投与を 2 回行う群(33 例,リツキシマブ群)と,3~6 ヵ月のシクロホスファミド静注後にアザチオプリン投与を行う群(11 例,対照群)に,3:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 12 ヵ月の時点での寛解維持率と,重度の有害事象とした.

結 果

年齢の中央値は 68 歳であり,糸球体濾過量(GFR)は 18 mL/分/1.73 m2 体表面積であった.寛解維持が認められたのは,リツキシマブ群 25 例(76%),対照群 9 例(82%)であった(P=0.68).重度の有害事象は,リツキシマブ群 14 例(42%),対照群 4 例(36%)で発生した(P=0.77).死亡数は,リツキシマブ群 33 例中 6 例(18%),対照群 11 例中 2 例(18%)であった(P=1.00).0~12 ヵ月における GFR 増加の中央値は,リツキシマブ群 19 mL/分,対照群 15 mL/分であった(P=0.14).

結 論

重度の ANCA 関連血管炎の治療法として,リツキシマブをベースとしたレジメンに,標準的なシクロホスファミド静注に対する優位性は認められなかった.寛解維持率は両群ともに高く,リツキシマブをベースとしたレジメンは,早期の重度有害事象の減少には関連しなかった.(ケンブリッジ大学病院国民医療制度財団法人,F. Hoffmann-La Roche 社より研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN28528813)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 211 - 20. )