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December 16, 2010 Vol. 363 No. 25

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軽症~中等症の心不全に対する心臓再同期療法
Cardiac-Resynchronization Therapy for Mild-to-Moderate Heart Failure

A.S.L. Tang and Others

背景

心臓再同期療法(CRT)は,左室収縮機能障害と広い QRS 幅を呈する患者に有益である.このような患者のほとんどは,植込み型除細動器(ICD)の適応となる.ICD と至適薬物療法による治療に CRT を追加することで,そのような患者の死亡と病態が減少するかどうかを評価した.

方 法

ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類で II 度または III 度の心不全を有し,左室駆出率 30%以下,内因性 QRS 幅 120 msec 以上またはペーシング QRS 幅 200 msec 以上の患者を,ICD のみを用いる群と,ICD と CRT を併用する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,全死因死亡または心不全による入院とした.

結 果

1,798 例を平均 40 ヵ月追跡した.主要転帰は,ICD+CRT 群 894 例中 297 例(33.2%)と,ICD 群 904 例中 364 例(40.3%)で発生した(ICD+CRT 群のハザード比 0.75,95%信頼区間 [CI] 0.64~0.87,P<0.001).死亡は,ICD+CRT 群で 186 例,ICD 群で 236 例みられ(ハザード比 0.75,95% CI 0.62~0.91,P=0.003),心不全による入院は,ICD+CRT 群で 174 例,ICD 群で 236 例みられた(ハザード比 0.68,95% CI 0.56~0.83,P<0.001).しかし,除細動器植込み後 30 日の時点で,有害事象は ICD+CRT 群で 124 例発生していたのに対し,ICD 群では 58 例であった(P<0.001).

結 論

NYHA 分類 II 度または III 度の心不全を有し,広い QRS 幅と,左室収縮機能障害を呈する患者において,ICD に CRT を追加することで,死亡率と心不全による入院率が低下した.この改善に伴い有害事象は増加した.(カナダ保健研究機構,Medtronic of Canada 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00251251)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2385 - 95. )