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日本語アブストラクト

April 21, 2011 Vol. 364 No. 16

頻度の高い MUC5B プロモーター多型と肺線維症
A Common MUC5B Promoter Polymorphism and Pulmonary Fibrosis

M.A. Seibold and Others

背景

肺線維症はいくつかの変異との関連が示されているが,それらは集団リスクのごく一部を説明するにすぎない.

方 法

全ゲノム連鎖解析を用い,82 家族において,特発性間質性肺炎と,染色体 11p15 の 3.4 Mb 領域との連鎖を検出した.続いて,家族性間質性肺炎患者 83 例,特発性肺線維症患者 492 例,対照者 322 例において,肺に発現しているゲル形成ムチン遺伝子の同領域における変異を評価した.肺組織において MUC5B 発現を評価した.

結 果

連鎖解析と精密マッピングを用いて,ゲル形成ムチン遺伝子を含む第 11 染色体の p 末端上の関心領域を同定した.MUC5B 転写開始部位の 3 kb 上流に位置する一塩基多型(SNP)rs35705950 の変異型対立遺伝子の頻度は,家族性間質性肺炎患者 34%,特発性肺線維症患者 38%,対照者 9%であった(家族性間質性肺炎との対立遺伝子相関 P=1.2×10-15,特発性肺線維症との対立遺伝子相関 P=2.5×10-37).この SNP の変異型対立遺伝子がヘテロ接合である被験者とホモ接合である被験者における疾患のオッズ比は,家族性間質性肺炎についてはそれぞれ 6.8(95%信頼区間 [CI] 3.9~12.0),20.8(95% CI 3.8~113.7),特発性肺線維症についてはそれぞれ 9.0(95% CI 6.2~13.1),21.8(95% CI 5.1~93.5)であった.特発性肺線維症患者の肺における MUC5B 発現は,対照者の 14.1 倍高かった(P<0.001).rs35705950 の変異型対立遺伝子は,対照者の肺における MUC5B 発現のアップレギュレーションに関連していた(野生型対立遺伝子がホモ接合である対照者の 37.4 倍,P<0.001).特発性肺線維症の病変では MUC5B 蛋白が発現していた.

結 論

MUC5B のプロモーターにみられる頻度の高い多型が,家族性間質性肺炎と特発性肺線維症に関連している.本研究の結果から,肺における MUC5B の発現調節障害が,肺線維症の発症に関与している可能性が示唆される.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1503 - 12. )