公的保険に加入している小児のための専門医療へのアクセスに関する監査
Auditing Access to Specialty Care for Children with Public Insurance
J. Bisgaier and K.V. Rhodes
医療制度改革により,医療へのアクセスに関する懸念への十分な取り組みがないまま,公的保険の加入資格が拡大されている.メディケイドおよび児童健康保険プログラム(Children's Health Insurance Program:CHIP)に対する医療提供者側の受け入れ姿勢と民間保険に対する医療提供者側の受け入れ姿勢とのあいだの格差を明らかにするために,小児の外来専門医療へのアクセスを評価した.
2010 年 1 月~5 月に,専門医の割合の高いイリノイ州クック郡にある,8 つの診療科の代表的クリニックから標本を層別無作為抽出し,研究助手が電話した.電話は,外来での専門治療を要する,頻度の高い病態を呈する小児の母親を装ってかけた.加入保険ごとに異なる標準化した臨床シナリオを用いて,同一人物が 1 ヵ月の間隔をあけて各診療所に 2 回電話した.
273 ヵ所の専門診療所に各 2 回,計 546 回の電話をした.検討したすべての診療科で,メディケイド・CHIP に対する医療提供者側の受け入れ姿勢と民間保険に対する医療提供者側の受け入れ姿勢とのあいだに有意な格差が認められた.全体で,メディケイド・CHIP 加入者からの電話では 66%(273 回中 179 回)が予約を拒否されたのに対し,民間保険加入者からの電話では 11%(273 回中 29 回)であった(相対リスク 6.2,95%信頼区間 [CI] 4.3~8.8,P<0.001).双方の保険を受け入れた 89 ヵ所の診療所での平均予約待ち期間は,メディケイド・CHIP 加入者のほうが民間保険加入者よりも 22 日長かった(95% CI 6.8~37.5,P=0.005).
公的保険に加入している小児と民間保険に加入している小児とのあいだに,外来専門治療へのアクセスに格差が認められた.医療へのアクセスを向上させるためには,公的保険加入患者の受け入れを医療提供者に促す政策介入が必要である.