The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 6, 2011 Vol. 364 No. 1

ハイチのコレラ流行株の起源
The Origin of the Haitian Cholera Outbreak Strain

C.-S. Chin and Others

背景

コレラは 1991 年以降中南米での発生が認められているが,少なくとも 100 年間ハイチでの流行はなかった.しかし最近,ハイチでコレラの深刻な集団感染が起きている.

方 法

第三世代の単一分子リアルタイム DNA 解析を用いて,現在ハイチで集団感染を引き起こしているコレラ菌(Vibrio cholerae)の臨床分離株 2 株,1991 年に中南米でコレラを引き起こした 1 株,2002 年と 2008 年に南アジアで分離された 2 株のゲノム配列を決定した.一次配列データを用いて,これら 5 株のゲノムと,これまでに得られた 23 種類の V. cholerae 株の部分的ゲノム配列を比較し,ハイチのコレラ集団感染の起源と考えられる菌株を評価した.

結 果

一塩基変異と,超可変性染色体要素の存在および構造から,ハイチの分離株と,2002 年と 2008 年にバングラデシュで分離された V. cholerae El Tor O1 変異株との強い類似性が示唆された.一方で,ハイチの分離株のゲノム変異解析から,南米でみられる分離株との類似性は弱いことが判明した.

結 論

ハイチでの流行はおそらく,地理的に遠く離れた発生源から,人間活動を介して,V. cholerae 株がもたらされた結果である.(米国国立アレルギー感染症研究所,ハワード・ヒューズ医学研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 33 - 42. )