September 22, 2011 Vol. 365 No. 12
米国の小児におけるロタウイルスワクチンと下痢による医療の利用
Rotavirus Vaccine and Health Care Utilization for Diarrhea in U.S. Children
J.E. Cortes and Others
米国では,乳児に対する 5 価ロタウイルスワクチン(RV5)の定期接種が 2006 年に開始された.
MarketScan データベースを用いて,5 歳未満の小児における RV5 の接種率と下痢に関連した医療の利用について,2007 年 7 月~2009 年 6 月と,2001 年 7 月~2006 年 6 月とを比較評価した.2008 年および 2009 年の 1 月~6 月(ロタウイルスの最流行期)のワクチン未接種児における下痢に関連した医療の利用率をワクチン導入前と比較して,間接的な有益性を推定した.下痢による入院数および関連費用における全米規模での減少を外挿により推定した.
2008 年 12 月 31 日までに RV5 接種を 1 回以上受けた割合は,1 歳未満児 73%,1 歳児 64%,2~4 歳児 8%であった.5 歳未満児における下痢による入院率は,2001~06 年,2007~08 年,2008~09 年にそれぞれ 10,000 人年あたり 52 例,35 例,39 例であり,2001~06 年と比較して,2007~08 年は 33%(95%信頼区間 [CI] 31~35)低下し,2008~09 年は 25%(95% CI 23~27)低下した.ロタウイルス感染と分類された入院率は,それぞれ 10,000 人年あたり 14 例,4 例,6 例であり,2001 年~2006 年と比較して,2007~08 年は 75%(95% CI 72~77)低下し,2008~09 年は 60%(95% CI 58~63)低下した.2008 年および 2009 年の 1 月~6 月における,ワクチン接種児と未接種児との比較では,下痢による入院率がそれぞれ 44%(95% CI 33~53)と 58%(95% CI 52~64),ロタウイルス感染と分類された入院率が 89%(95% CI 79~94)と 89%(95% CI 84~93),下痢による救急部受診率が 37%(95% CI 31~43)と 48%(95% CI 44~51),下痢による外来受診率が 9%(95% CI 6~11)と 12%(95% CI 10~15)と接種児で相対的に低下した.ワクチン未接種児における間接的な有益性は 2007~08 年には認められたが,2008~09 年には認められなかった.2007~09 年の期間に全米規模で入院が 64,855 件減少し,治療費が約 2 億 7,800 万ドル削減されたと推定された.
ロタウイルスワクチン導入以来,米国の小児における下痢に関連した医療の利用と医療費が大幅に減少した.