September 8, 2011 Vol. 365 No. 10
非弁膜症性心房細動に対するリバーロキサバンとワルファリンとの比較
Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation
M.R. Patel and Others
心房細動患者にワルファリンを用いると脳梗塞の発症率が低下するが,頻回のモニタリングと用量調節が必要である.経口第 Xa 因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)は,ワルファリンよりも一貫した,予測可能な抗凝固作用を示す可能性がある.
二重盲検試験で,脳卒中リスクの高い非弁膜症性心房細動患者 14,264 例を,リバーロキサバン(20 mg/日)を投与する群と,用量調節ワルファリンを投与する群に無作為に割り付けた.リバーロキサバンが主要エンドポイントとした脳卒中,全身性塞栓症に関してワルファリンに対して非劣性であるかを検討することを目的として,per-protocol,as-treated での主要解析をデザインした.
主要解析では,主要エンドポイントはリバーロキサバン群では 188 例(1.7%/年),ワルファリン群では 241 例(2.2%/年)で発生した(リバーロキサバン群のハザード比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.66~0.96,非劣性について P<0.001).intention-to-treat 解析では,主要エンドポイントはリバーロキサバン群では 269 例(2.1%/年),ワルファリン群では 306 例(2.4%/年)で発生した(ハザード比 0.88,95% CI 0.74~1.03,非劣性について P<0.001,優越性について P=0.12).重大な出血と,重大ではないが臨床的に意義のある出血は,リバーロキサバン群では 1,475 例(14.9%/年),ワルファリン群では 1,449 例(14.5%/年)で発生した(ハザード比 1.03,95% CI 0.96~1.11,P=0.44).頭蓋内出血(0.5% 対 0.7%,P=0.02),致死的出血(0.2% 対 0.5%,P=0.003)はリバーロキサバン群のほうが有意に少なかった.
リバーロキサバンは,心房細動患者の脳卒中,全身性塞栓症の予防においてワルファリンに対し非劣性であった.重大な出血のリスクに有意な群間差は認められなかったが,頭蓋内出血と致死的出血の発生頻度はリバーロキサバン群のほうが低かった.(Johnson & Johnson 社,Bayer 社から研究助成を受けた.ROCKET AF ClinicalTrials.gov 番号:NCT00403767)