March 22, 2012 Vol. 366 No. 12
二次性急性骨髄性白血病のクローン構造
Clonal Architecture of Secondary Acute Myeloid Leukemia
M.J. Walter and Others
骨髄異形成症候群(MDS)は,二次性急性骨髄性白血病(AML)に移行する頻度が高い血液疾患群である.MDS から二次性 AML への移行の基礎にある遺伝子変化は,十分に解明されていない.
二次性 AML 患者 7 例の皮膚と骨髄のペア検体 7 組の全ゲノム配列決定を行い,二次性 AML に特異的な体細胞変異を同定した.続いて,先行する MDS 期に採取された各患者の骨髄検体の遺伝子型を決定し,特異的な体細胞変異の有無を検討した.コード遺伝子上で高頻度にみられる変異を同定し,何百もの変異をもつアレルの比率(allele burden)を用いて,MDS 期と二次性 AML 期に採取された各ペア検体のクローン構造を定義した.
MDS と二次性 AML の検体では,骨髄芽球数を問わず,骨髄細胞の約 85%がクローン性であった.二次性 AML の検体には,高頻度に変異している遺伝子 11 個に変異が存在し,うち 4 個はこれまで MDS や AML との関連が知られていない変異であった.全例において,急性白血病への移行は,182~660 の体細胞変異を含む先行する創始クローン(founding clone)が存続していることと,数十~数百の新たな変異を有するサブクローンが 1 個以上増殖または出現していることで定義された.創始クローンとサブクローンはすべて,コード遺伝子に 1 個以上の変異を有した.
MDS と二次性 AML の患者では,ほぼすべての骨髄細胞がクローンに由来する.二次性 AML の遺伝的進化は,変異獲得とクローン選択が複数回繰り返されることで方向付けられる動的な過程である.創始クローンと娘サブクローン(daughter subclone)の両方で遺伝子変異が高頻度に認められる.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)