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March 22, 2012 Vol. 366 No. 12

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LDL コレステロールに対する抗 PCSK9 モノクローナル抗体の効果
Effect of a Monoclonal Antibody to PCSK9 on LDL Cholesterol

E.A. Stein and Others

背景

前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9(PCSK9)は,セリンプロテアーゼの一つであり,低比重リポ蛋白(LDL)受容体に結合することによりその分解を加速し,LDL コレステロール値を上昇させる.われわれは,REGN727/SAR236553(REGN727)と呼ばれる抗 PCSK9 モノクローナル抗体の第 1 相試験 3 件について報告する.

方 法

健常ボランティアを対象とした 2 件の無作為化単回投与用量漸増試験において,REGN727 の静脈内投与(計 40 例)と皮下投与(計 32 例)をプラセボと比較した.これらの試験のあとに,ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症を有しアトルバスタチンを投与されている成人(21 例)と,非家族性高コレステロール血症を有しアトルバスタチンを投与されている成人(30 例)(ベースラインの LDL コレステロール値>100 mg/dL [2.6 mmol/L])または食事療法のみを行っている成人(10 例)(ベースラインの LDL コレステロール値>130 mg/dL [3.4 mmol/L])を対象とした,無作為化プラセボ対照反復投与試験を実施した.REGN727 は,50 mg,100 mg,150 mg の用量で 1 日目,29 日目,43 日目に皮下投与した.すべての試験の主要転帰は有害事象の発生とした.主要副次的転帰は,脂質プロファイルに対する REGN727 の影響とした.

結 果

REGN727 を投与した被験者において有害事象による中止はなかった.すべての試験において,REGN727 により LDL コレステロール値は有意に低下した.反復投与試験のアトルバスタチン投与群を併せた群において,50 mg,100 mg,150 mg の REGN727 により LDL コレステロール測定値がそれぞれ 77.5 mg/dL(2.00 mmol/L),61.3 mg/dL(1.59 mmol/L),53.8 mg/dL(1.39 mmol/L)に低下し,ベースラインからの変化量をプラセボと比較すると,それぞれ -39.2 パーセントポイント,-53.7 パーセントポイント,-61.0 パーセントポイントであった(すべての比較について P<0.001).

結 論

3 件の第 1 相試験において,抗 PCSK9 モノクローナル抗体により,健常ボランティアおよび家族性または非家族性高コレステロール血症患者の LDL コレステロール値が有意に低下した.(Regeneron Pharmaceuticals 社,Sanofi 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01026597,NCT01074372,NCT01161082)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1108 - 18. )