April 26, 2012 Vol. 366 No. 17
2 型糖尿病に対する肥満手術と従来の内科的治療との比較
Bariatric Surgery versus Conventional Medical Therapy for Type 2 Diabetes
G. Mingrone and Others
病的肥満患者の糖尿病は,ルーワイ胃バイパス術,胆膵路転換術によって著明に改善することができ,糖尿病の寛解にいたる場合が多い.糖尿病の治療法として,これらの手術と内科的治療とを比較する前向き無作為化試験を行う必要がある.
単一施設非盲検無作為化対照試験において,30~60 歳で,体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)35 以上,糖尿病歴 5 年以上,糖化ヘモグロビン値 7.0%以上の患者 60 例を,従来の内科的治療を行う群と,胃バイパス術または胆膵路転換術を行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,2 年後の糖尿病寛解率とした(糖尿病寛解は,薬物療法を行わずに空腹時血糖値が 100 mg/dL [5.6 mmol/L] 未満で,糖化ヘモグロビン値が 6.5%未満と定義).
2 年の時点で,内科的治療群で糖尿病寛解が得られた例はなかったのに対し,胃バイパス術群では 75%,胆膵路転換術群では 95%で寛解がみられた(両比較について P<0.001).年齢,性別,ベースラインの BMI,糖尿病罹患期間,体重変化は,2 年後の糖尿病寛解や 1 ヵ月後,3 ヵ月後の血糖値改善についての有意な予測因子ではなかった.2 年後に,ベースラインの平均糖化ヘモグロビン値(8.65±1.45%)は全群で低下していたが,改善の程度は両手術群のほうが大きかった(平均糖化ヘモグロビン値は内科的治療群 7.69±0.57%,胃バイパス術群 6.35±1.42%,胆膵路転換術群 4.95±0.49%).
2 型糖尿病を有する重度肥満患者において,肥満手術により内科的治療と比較して良好な血糖コントロールを得ることができた.周術期の BMI と体重減少は,これらの手術後の高血糖改善の予測因子ではなかった.(ローマ・カトリック大学から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00888836)