高リスク患者における経カテーテル大動脈弁置換術の登録
Registry of Transcatheter Aortic-Valve Implantation in High-Risk Patients
M. Gilard and Others
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は,重症大動脈弁狭窄症と併存疾患を有する高リスク患者に対する新たな治療である.フランスの全国規模の経カテーテル大動脈弁置換術登録である FRANCE 2 の前向き多施設共同研究の結果を報告する.
FRANCE 2 登録対象の,フランスで施行される TAVI をすべて前向きに研究に組み入れた.主要エンドポイントは全死因死亡とした.
2010 年 1 月~2011 年 10 月に,34 施設で 3,195 例が登録された.平均(±SD)年齢は 82.7±7.2 歳で,49%が女性であった.全例に重度の症状があり,大動脈弁置換のための手術を行うにはリスクが高かった.デバイスは Edwards 社の SAPIEN が患者の 66.9%に,Medtronic 社の CoreValve が 33.1%に使用された.アプローチは,動脈(大腿 74.6%,鎖骨下 5.8%,その他 1.8%)または心尖部(17.8%)から取られた.手技の成功率は 96.9%であった.30 日死亡率は 9.7%であり,1 年死亡率は 24.0%であった.1 年の時点で,脳卒中の発生率は 4.1%であり,人工弁周囲の大動脈弁逆流の発生率は 64.5%であった.多変量モデルにおいて,欧州心臓手術リスク評価システム(EuroSCORE)の理論的リスクスコアが高いこと,ニューヨーク心臓協会(NYHA)の機能分類 III 度または IV 度の症状,心尖部アプローチによる TAVI,人工弁周囲の逆流量が多いことが,低い生存率と有意に関連していた.
この前向き登録研究は,大動脈弁狭窄症を有する高リスクの高齢患者に対する TAVI の実際の経験を示すものであり,これらの患者には,TAVI は合理的な選択肢の一つであったと思われる.(Edwards Lifesciences 社,Medtronic 社から研究助成を受けた.)