規制当局による新規治療薬の審査 ― 3 つの規制当局の比較
Regulatory Review of Novel Therapeutics ― Comparison of Three Regulatory Agencies
N.S. Downing and Others
近く行われる処方薬ユーザーフィー法の再承認では,米国食品医薬品局(FDA)における新薬申請の審査手続きの改善が焦点となる.
FDA,欧州医薬品庁(EMA),カナダ保健省から公的に入手可能な情報を用いて,2001~10 年にこの 3 つの規制当局に承認された新規治療薬に関わるすべての申請について,初回審査終了までの期間と総審査期間を比較し,それぞれの新規治療薬の使用が最初に承認された地域を同定した.
2001~10 年に承認された新規治療薬の申請は 510 件あった.内訳は FDA 225 件,EMA 186 件,カナダ保健省 99 件であった.これらの申請のうち,独自の薬剤は 289 件あった.初回審査終了までの期間の中央値は,FDA に承認された申請で 303 日(四分位範囲 185~372),EMA に承認された申請で 366 日(四分位範囲 310~445),カナダ保健省に承認された申請で 352 日(四分位範囲 255~420)であった(3 つの当局間の比較で P<0.001).FDA では,総審査期間の中央値もまた EMA,カナダ保健省よりも短かった(P=0.002).独自の新規治療薬 289 件のうち,190 件が米国と欧州(EMA または相互承認手続きによる)の両方で承認され,このうち 121 件(63.7%)が米国で最初に承認された.同様に,154 件が米国とカナダの両国で承認され,うち 132 件(85.7%)が米国で最初に承認された.
2001~10 年に承認された新規治療薬について,FDA は,EMA,カナダ保健省と比較して,平均してより迅速に新規治療薬に関わる申請を審査し,これらの新規治療薬の大多数は,米国で最初に使用を承認されていた.(ピュー慈善信託から研究助成を受けた.)