February 2, 2012 Vol. 366 No. 5
限局期ホジキンリンパ腫に対する ABVD 単独療法と放射線療法との比較
ABVD Alone versus Radiation-Based Therapy in Limited-Stage Hodgkin's Lymphoma
R.M. Meyer and Others
化学療法と放射線療法の併用は,巨大腫瘤を伴わない IA 期または IIA 期のホジキンリンパ腫の制御に患者の 90%で有効であるが,治療関連晩期死亡と関連している.化学療法単独による治療は晩期死亡が少ないことと関連するため,生存期間が改善する可能性がある.
未治療で巨大腫瘤を伴わない,IA 期または IIA 期のホジキンリンパ腫患者 405 例を,ドキソルビシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジン(ABVD)による治療を単独で行う群と,ABVD 併用・非併用下で亜全リンパ節照射を行う群に無作為に割り付けた.ABVD 単独群では,リスクプロファイルが良好な患者と不良な患者のいずれにも 4~6 サイクルの ABVD 治療を行った.亜全リンパ節照射療法群のうち,リスクプロファイルが良好な患者には亜全リンパ節照射のみを行い,リスクプロファイルが不良な患者には 2 サイクルの ABVD 治療後に亜全リンパ節照射を行った.主要エンドポイントは 12 年全生存率とした.
追跡期間の中央値は 11.3 年であった.12 年時点の全生存率は,ABVD 単独群では 94%であったのに対し,亜全リンパ節照射療法群では 87%であり(ABVD 単独群の死亡のハザード比 0.50,95%信頼区間 [CI] 0.25~0.99,P=0.04),無増悪率はそれぞれ 87%と 92%であり(増悪のハザード比 1.91,95% CI 0.99~3.69,P=0.05),無イベント生存率はそれぞれ 85%と 80%であった(イベントのハザード比 0.88,95% CI 0.54~1.43,P=0.60).ABVD 単独群に無作為に割り付けられた患者のうち,6 例がホジキンリンパ腫または早期の治療関連合併症により死亡し,6 例が他の原因により死亡した.放射線療法群では,4 例がホジキンリンパ腫または早期の毒性作用に関連して死亡し,20 例が他の原因に関連して死亡した.
ホジキンリンパ腫患者において,ABVD 単独療法のほうが,亜全リンパ節照射を含む治療と比較して高い全生存率と関連していたが,これは他の原因による死亡率がより低いためであった.(カナダ対がん協会,カナダ国立がん研究所から研究助成を受けた.HD.6 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00002561)