The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 2, 2012 Vol. 366 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

診断後間もない 1 型糖尿病に対する GAD65 抗原による治療
GAD65 Antigen Therapy in Recently Diagnosed Type 1 Diabetes Mellitus

J. Ludvigsson and Others

背景

グルタミン酸デカルボキシラーゼ 65 kD アイソフォーム(glutamic acid decarboxylase:GAD65)は,1 型糖尿病における主要な自己抗原である.アルミアジュバント GAD65(ミョウバン GAD)は,1 型糖尿病を発症して間もない患者の β 細胞機能を維持させることができるという仮説を立てた.

方 法

空腹時 C ペプチド濃度が 0.3 ng/mL(0.1 nmol/L)を超えており,血清中に抗 GAD65 自己抗体が検出可能であった 10~20 歳の 1 型糖尿病患者 334 例を対象とした.診断後 3 ヵ月以内に,患者を次の 3 つの試験治療群のいずれかに無作為に割り付けた:ミョウバン GAD を 4 回投与する群,ミョウバン GAD を 2 回投与した後プラセボを 2 回投与する群,プラセボを 4 回投与する群.主要評価項目は,ベースラインの受診から 15 ヵ月後の受診までのあいだでの刺激時(混合食負荷試験後)の血清 C ペプチド濃度の変化量とした.副次的評価項目は,糖化ヘモグロビン値,インスリンの平均 1 日量,低血糖発生率,空腹時 C ペプチド濃度,刺激時 C ペプチド最高濃度などとした.

結 果

刺激時 C ペプチド濃度は全群で同程度低下し,15 ヵ月の時点での主要評価項目に両実薬群とプラセボ群とのあいだで有意差は認められなかった(P=0.10).ミョウバン GAD の投与は,プラセボと比較して,インスリン量,糖化ヘモグロビン値,低血糖発生率に影響しなかった.有害事象は 3 群で低頻度かつ軽度であり,有意差は認められなかった.

結 論

ミョウバン GAD を投与しても,15 ヵ月の期間に刺激時 C ペプチドの消失の有意な抑制も臨床転帰の有意な改善もみられなかった.(Diamyd Medical 社,スウェーデン小児糖尿病基金から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00723411)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 433 - 42. )