The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 1, 2012 Vol. 366 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重度外傷性脳損傷に対するアマンタジンのプラセボ対照試験
Placebo-Controlled Trial of Amantadine for Severe Traumatic Brain Injury

J.T. Giacino and Others

背景

アマンタジン塩酸塩は,外傷性脳損傷後の遷延性意識障害患者に対してもっとも多く処方される薬剤の一つである.予備的研究から,アマンタジンは機能回復を促進させる可能性があることが示唆されている.

方 法

外傷性脳損傷後 4~16 週で植物状態または最小意識状態にあり,入院リハビリテーションを受けている患者 184 例を登録した.患者を 4 週間にわたりアマンタジンを投与する群,またはプラセボを投与する群に無作為に割り付け,投与中止後 2 週間追跡した.混合効果回帰モデルを用いて,機能障害の評価尺度(Disability Rating Scale:DRS,0~29 でスコアが高いほど機能障害が強いことを示す)に基づく機能回復速度を,4 週間の投与期間(主要転帰)と 2 週間のウォッシュアウト期間とで比較した.

結 果

4 週間の投与期間中は,DRS スコアに基づく回復は,アマンタジン群のほうがプラセボ群よりも有意に速かったことから(傾きの差 0.24 ポイント/週,P=0.007),主要転帰評価項目に関する有益性が示された.事前に規定したサブグループ解析では,植物状態の患者と最小意識状態の患者とで治療効果は同程度であった.アマンタジン群では投与中止後 2 週間(第 5 週と第 6 週)に改善速度が低下し,プラセボ群と比較して有意に遅かった(傾きの差 0.30 ポイント/週,P=0.02).ベースラインから第 6 週(投与中止から 2 週間後)までのあいだの DRS スコアの全体的改善は,両群で同程度であった.重篤な有害事象の発生率に有意差は認められなかった.

結 論

アマンタジンは,外傷後の意識障害患者において,投与期間中の機能回復速度を促進させた.(米国国立障害リハビリテーション研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00970944)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 819 - 26. )