March 15, 2012 Vol. 366 No. 11
卵円孔開存を有する潜因性脳卒中患者に対する閉鎖術と薬物療法との比較
Closure or Medical Therapy for Cryptogenic Stroke with Patent Foramen Ovale
A.J. Furlan and Others
潜因性脳卒中患者における卵円孔開存の有病率は一般集団よりも高い.このような患者には経皮デバイスを用いた閉鎖術が推奨されることが多いが,この介入によって脳卒中の再発リスクが低下するかどうかは明らかにされていない.
潜因性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)で受診し,卵円孔開存を有する 18~60 歳の患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化試験において,経皮デバイスを用いた閉鎖術と薬物療法単独とを比較した.主要エンドポイントは,2 年間の追跡期間における脳卒中または TIA,最初の 30 日間における全死因死亡,31 日目~2 年後の期間における神経系の原因による死亡の複合とした.
909 例を試験に登録した.主要エンドポイントの累積発生率(Kaplan–Meier 推定値)は,閉鎖術群(447 例)では 5.5%であり,薬物療法群(462 例)では 6.8%であった(補正ハザード比 0.78,95%信頼区間 0.45~1.35,P=0.37).脳卒中の累積発生率はそれぞれ 2.9%と 3.1%であり(P=0.79),TIA の累積発生率はそれぞれ 3.1%と 4.1%であった(P=0.44).両群とも 30 日間に死亡した例はなく,2 年間の追跡期間中に神経系の原因で死亡した例もなかった.神経イベントが再発した患者では,多くの場合に奇異性塞栓症以外の原因が明らかであった.
卵円孔開存を有する潜因性脳卒中または TIA の患者にデバイスを用いた閉鎖術を行っても,脳卒中または TIA の再発予防における利益は薬物療法単独を上回らなかった.(NMT Medical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00201461)