The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 4, 2012 Vol. 367 No. 14

心原性ショックを伴う心筋梗塞患者に対する大動脈内バルーンによる補助
Intraaortic Balloon Support for Myocardial Infarction with Cardiogenic Shock

H. Thiele and Others

背景

現行の国際的ガイドラインでは,急性心筋梗塞に合併した心原性ショックに対するクラス I の治療として,大動脈内バルーンパンピングが推奨されている.しかし,エビデンスは主に登録データに基づくものであり,無作為化臨床試験は少ない.

方 法

無作為化前向き非盲検多施設共同試験において,急性心筋梗塞に心原性ショックを合併した患者 600 例を,大動脈内バルーンパンピングを行う群(IABP 群,301 例)と,行わない群(対照群,299 例)に無作為に割り付けた.全例が,早期の血行再建(経皮的冠動脈インターベンションまたは冠動脈バイパス術による)と,利用可能な最善の内科的治療を受ける予定であった.主要有効性エンドポイントは,30 日の時点での全死因死亡率とした.安全性の評価項目は,重大な出血,末梢虚血性合併症,敗血症,脳卒中などとした.

結 果

主要エンドポイントの解析は,IABP 群の 300 例と対照群の 298 例を対象に行った.30 日の時点で,IABP 群の 119 例(39.7%)と対照群の 123 例(41.3%)が死亡していた(IABP による相対リスク 0.96,95%信頼区間 0.79~1.17,P=0.69).副次的エンドポイントにも,血行動態安定までの時間,集中治療室在室期間,血清乳酸値,カテコールアミン療法の用量と期間,腎機能などの診療プロセス指標にも,有意差は認められなかった.IABP 群と対照群とで,重大な出血の発生率(それぞれ 3.3%と 4.4%,P=0.51),末梢虚血性合併症の発生率(4.3%と 3.4%,P=0.53),敗血症の発生率(15.7%と 20.5%,P=0.15),脳卒中の発生率(0.7%と 1.7%,P=0.28)に有意差は認められなかった.

結 論

急性心筋梗塞に心原性ショックを合併し,早期の血行再建が予定された患者において,大動脈内バルーンパンピングを行っても,30 日死亡率は有意には低下しなかった.(ドイツ研究財団ほかから研究助成を受けた.IABP-SHOCK II ClinicalTrials.gov 番号:NCT00491036)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1287 - 96. )