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November 8, 2012 Vol. 367 No. 19

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切迫性尿失禁に対する抗コリン薬療法とオナボツリヌス毒素 A との比較
Anticholinergic Therapy vs. OnabotulinumtoxinA for Urgency Urinary Incontinence

A.G. Visco and Others

背景

切迫性尿失禁の治療には抗コリン薬とオナボツリヌス毒素 A(onabotulinumtoxinA)が用いられているが,この 2 種類の治療薬を直接比較したデータが必要とされている.

方 法

日誌に記録された切迫性尿失禁が 3 日間で 5 回以上ある,特発性切迫性尿失禁を有する女性を対象に,二重盲検二重プラセボ対照無作為化試験を行った.6 ヵ月にわたり,患者を抗コリン薬(ソリフェナシンを初期用量 5 mg で 10 mg まで増量可能とし,必要に応じてその後トロスピウム [trospium] XR 60 mg に変更)1 日 1 回経口投与+生理食塩水の排尿筋内注射 1 回を行う群と,オナボツリヌス毒素 A 100 U 排尿筋内注射 1 回+プラセボ 1 日 1 回経口投与を行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,6 ヵ月間における,切迫性尿失禁の 1 日あたりの平均回数のベースラインからの減少とした.切迫性尿失禁は 3 日ごとの日誌に記録し,月 1 回提出することとした.副次的評価項目は,切迫性尿失禁の完全消失,QOL,カテーテルの使用,有害事象などとした.

結 果

無作為化された 249 例中,247 例が治療を受け,241 例のデータが主要転帰の解析に用いられた.切迫性尿失禁の 1 日あたりの回数は,6 ヵ月間で,ベースラインの平均 5.0 回/日から,平均して抗コリン薬群では 3.4 回減少し,オナボツリヌス毒素 A 群では 3.3 回減少した(P=0.81).切迫性尿失禁の完全消失はそれぞれ 13%と 27%で報告された(P=0.003).QOL は両群とも改善し,群間で有意差は認められなかった.抗コリン薬群では口渇の発生頻度がより高かったが(46% 対 31%,P=0.02),2 ヵ月の時点でのカテーテル使用率(0% 対 5%,P=0.01)と,尿路感染症の発生率(13% 対 33%,P<0.001)はより低かった.

結 論

経口抗コリン薬療法とオナボツリヌス毒素 A 注射は,切迫性尿失禁の 1 日あたりの頻度の同程度の低下に関連していた.オナボツリヌス毒素 A 投与群では,口渇の発生頻度がより低く,切迫性尿失禁の完全消失率がより高かったが,一過性尿閉と尿路感染症の発生率がより高かった.(米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健発達研究所,米国国立衛生研究所・女性の健康研究室から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01166438)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1803 - 13. )