November 15, 2012 Vol. 367 No. 20
再発ライム病における再感染と再燃との鑑別
Differentiation of Reinfection from Relapse in Recurrent Lyme Disease
R.B. Nadelman and Others
遊走性紅斑は,ライム病にもっともよくみられる症状である.再発はまれではなく,通常は最初の感染の再燃ではなく,再感染に起因したものであるが,多少の議論が続いている.われわれは,遊走性紅斑エピソードが培養で確認された患者から分離した Borrelia burgdorferi の分子タイピングにより,再燃と再感染を鑑別した.
連続した遊走性紅斑エピソードを有する患者から皮膚検体または血液検体を採取し,培養で検出された B. burgdorferi 株の外表面蛋白 C をコードする遺伝子(ospC)の遺伝子型を決定した.ポリメラーゼ連鎖反応による増幅後,逆ラインブロット法またはほぼ全長の遺伝子の DNA 塩基配列決定により ospC の遺伝子型を決定した.さらなる解析のため,ほとんどの株について 16S-23S リボソーム RNA 遺伝子間スペーサー領域の配列決定,多座位配列タイピング,またはその両方によって遺伝子型を決定した.患者は遊走性紅斑に対して標準的な抗菌薬治療を受けた.
1991~2011 年に遊走性紅斑と診断され,この病変のエピソード 22 組(初回エピソードと 2 回目のエピソード)を有する患者 17 例の B. burgdorferi 分離株を解析しえた.ospC 遺伝子型は初回エピソードと 2 回目のエピソードで異なることが明らかになった.見かけ上同一の遺伝子型が 2 回以上のエピソードで同定されたのは 1 例のみで,初回エピソードと,初回から 5 年隔てた 3 回目のエピソードで同定されたが,2 回目と 4 回目のエピソードでは異なる遺伝子型が同定された.
22 組の連続した遊走性紅斑エピソードのなかで,同一の B. burgdorferi 培養株に関連したものはなかった.今回のデータから,適切に治療された患者における遊走性紅斑の反復エピソードは,再感染によるものであり,再燃ではないことが示された.(米国国立衛生研究所,ウィリアム・アンド・シルビア・シルバースタイン財団から研究助成を受けた.)