関節リウマチに対するトファシチニブまたはアダリムマブとプラセボとの比較
Tofacitinib or Adalimumab versus Placebo in Rheumatoid Arthritis
R.F. van Vollenhoven and Others
トファシチニブ(tofacitinib)(CP-690,550)は,新規の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で,関節リウマチの治療薬として研究されている.
12 ヵ月間の第 3 相試験において,安定用量のメトトレキサートを投与されている患者 717 例を,トファシチニブ 5 mg を 1 日 2 回投与する群,トファシチニブ 10 mg を 1 日 2 回投与する群,アダリムマブ 40 mg を 2 週ごとに投与する群,プラセボを投与する群のいずれかに,無作為に割り付けた.3 ヵ月の時点で腫脹関節数・圧痛関節数がベースラインから 20%減少しなかったプラセボ群の患者を,トファシチニブ 5 mg または 10 mg の 1 日 2 回投与に盲検下で切り替えた.6 ヵ月の時点でプラセボ投与を継続していた患者は,全例を盲検下でトファシチニブ投与に切り替えた.主要転帰指標は 3 つ設定し,6 ヵ月の時点での米国リウマチ学会基準による 20%改善(ACR 20),健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)スコア(0~3 で,スコアが高いほど障害が大きい)のベースラインから 3 ヵ月までの変化,6 ヵ月の時点で赤血球沈降速度に基づく 28 関節疾患活動性スコア(DAS28-4 [ESR])(0~9.4 で,スコアが高いほど疾患活動性が高い)が 2.6 未満であった患者の割合とした.
6 ヵ月の時点で,ACR 20 改善率は,トファシチニブ 5 mg 群および 10 mg 群(それぞれ 51.5%,52.6%)と,アダリムマブ群(47.2%)で,プラセボ群(28.3%)よりも高かった(すべての比較について P<0.001).さらに実薬治療群では,プラセボ群と比較して,3 ヵ月の時点での HAQ-DI スコアの低下が大きく,6 ヵ月の時点で DAS28-4(ESR)が 2.6 未満であった患者の割合が高かった.有害事象はトファシチニブ群のほうがプラセボ群よりも高頻度に発現し,トファシチニブ 10 mg 群の 2 例が肺結核を発症した.トファシチニブは,低比重・高比重リポ蛋白コレステロール値両方の上昇と好中球数の減少に関連した.
メトトレキサートによる基礎療法を受けている関節リウマチ患者において,トファシチニブの有効性は,プラセボよりも有意に優れ,アダリムマブと数値的に同程度であった.(Pfizer 社から研究助成を受けた.ORAL Standard ClinicalTrials.gov 番号:NCT00853385)