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January 3, 2013 Vol. 368 No. 1

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急性上部消化管出血に対する輸血戦略
Transfusion Strategies for Acute Upper Gastrointestinal Bleeding

C. Villanueva and Others

背景

急性消化管出血患者に赤血球輸血を行う際のヘモグロビンの閾値については議論がある.われわれは,制限的な輸血戦略と非制限的な輸血戦略とで,有効性と安全性を比較した.

方 法

重度の急性上部消化管出血患者 921 例を登録し,461 例を制限的輸血戦略(ヘモグロビン値が 7 g/dL を下回ったときに輸血を行う)に,460 例を非制限的輸血戦略(ヘモグロビン値が 9 g/dL を下回ったときに輸血を行う)に無作為に割り付けた.無作為化は肝硬変の有無で層別化した.

結 果

制限的戦略群では 225 例(51%)が輸血を受けなかったのに対し,非制限的戦略群では 65 例(15%)が輸血を受けなかった(P<0.001).6 週の時点での生存率は,制限的戦略群のほうが非制限的戦略群よりも高かった(95% 対 91%,制限的戦略群の死亡のハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.33~0.92,P=0.02).さらなる出血は,制限的戦略群では 10%に発生したのに対し,非制限的戦略群では 16%に発生し(P=0.01),有害事象はそれぞれ 40%と 48%に発生した(P=0.02).生存率は,消化性潰瘍に関連する出血患者のサブグループでは,制限的戦略群のほうが非制限的戦略群よりもわずかに高く(ハザード比 0.70,95% CI 0.26~1.25),Child–Pugh 分類 A または B の肝硬変を有する患者のサブグループにおいては有意に高かったが(ハザード比 0.30,95% CI 0.11~0.85),Child–Pugh 分類 C の肝硬変を有する患者のサブグループでは差は認められなかった(ハザード比 1.04,95% CI 0.45~2.37).最初の 5 日間に,門脈圧勾配は非制限的戦略群では有意に上昇したが(P=0.03),制限的戦略群では有意には上昇しなかった.

結 論

制限的輸血戦略により,急性上部消化管出血患者の転帰は,非制限的輸血戦略と比較して有意に改善した.(サン・パウ研究基金から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00414713)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 11 - 21. )