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March 21, 2013 Vol. 368 No. 12

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非小細胞肺癌における ERCC1 アイソフォームの発現と DNA 修復
ERCC1 Isoform Expression and DNA Repair in Non-Small-Cell Lung Cancer

L. Friboulet and Others

背景

除去修復交差相補群 1(excision repair cross-comple-mentation group 1:ERCC1)蛋白は,非小細胞肺癌(NSCLC)に対するシスプラチンベースの化学療法の有効性に関する予測バイオマーカーとなる可能性がある.現在,いくつかの試験で ERCC1 の発現量が評価されているが,評価方法について意見は一致していない.

方 法

2 つの独立した第 3 相試験(肺アジュバントシスプラチン評価生物学プロジェクトのカナダ国立がん研究所臨床試験グループ JBR.10 試験,癌・白血病グループ B 9633 試験)に参加した 494 例の患者から得たサンプルを検証セットとし,免疫組織化学的解析により 8F1 抗体を用いて ERCC1 蛋白の発現量を測定した.ERCC1 発現の欠損と白金製剤の奏効とのあいだに最初に相関を認めた国際アジュバント肺癌試験生物学研究の対象 589 例の検体のセット全体の反復染色の結果と,同じ腫瘍におけるわれわれの過去の結果とを比較した.市販されている 16 の ERCC1 抗体により認識されたエピトープをマッピングし,ERCC1 アイソフォームごとに白金製剤による DNA 損傷の修復能を検討した.

結 果

免疫染色による ERCC1 蛋白の予測効果を検証することはできなかった.ERCC1 の染色結果に不一致がみられたことは,2006 年以降に 8F1 抗体の性能が変化したことを示唆している.16 種類の抗体はいずれも 4 種類の ERCC1 蛋白アイソフォームを区別することができなかった一方,ヌクレオチド除去修復とシスプラチン耐性に関する完全な能力を有する蛋白を産生したのは,1 種類のアイソフォームのみであった.

結 論

現在入手可能な ERCC1 抗体を用いた免疫組織化学的解析により,固有の,機能的予測能を有する ERCC1 アイソフォームは検出されなかった.したがって,治療の意思決定の指針としての有用性には限界がある.(Eli Lilly 社ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1101 - 10. )