April 11, 2013 Vol. 368 No. 15
ある総合がんセンターにおける尊厳死プログラムの導入
Implementing a Death with Dignity Program at a Comprehensive Cancer Center
E.T. Loggers and Others
ワシントン州とオレゴン州における尊厳死希望者の多くは,末期癌の診断を受けている.より多くの州が,医師の幇助による死に関する法律を検討しているため,総合がんセンターの経験は有益な情報となる可能性がある.
太平洋岸北西部を受けもつシアトルの総合がんセンター,フレッド・ハッチンソン-ワシントン大学がんコンソーシアムの治療施設であるシアトルがん治療連合における尊厳死プログラムについて報告する.施設レベルのデータを,オレゴン州とワシントン州の公表されている州規模のデータと比較した.
2009 年 3 月 5 日~2011 年 12 月 31 日に,114 人が当施設の尊厳死プログラムについて問い合わせた.このうち 44 人(38.6%)がプログラムへの参加を希望せず,30 人(26.3%)がプログラムを開始したものの継続しないことを選択したか,完了する前に死亡した.カウンセリング後,要請に応じて致死量のセコバルビタールが処方された 40 人(プログラムの問い合わせを行った 114 人の 35.1%)は,全員死亡した.そのうち 24 人は薬剤を服用後に死亡した(処方を受けた患者の 60%).当施設でのプログラム参加者は,ワシントン州の尊厳死プログラム参加者全体(255 人)の 15.7%を占め,主に白人,男性で,教育水準が高かった.参加理由として多かったのは,自律性の喪失(97.2%),楽しい活動に参加できないこと(88.9%),尊厳の喪失(75.0%)であった.11 人は,処方を受けたあと 6 ヵ月以上生存した.質的には,患者と家族は,使用した・しないにかかわらず,死亡目的の薬剤を処方されたことに感謝していた.
全体として,当施設の尊厳死プログラムは患者と医師によく受け入れられてきている.