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May 2, 2013 Vol. 368 No. 18

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下肢蜂窩織炎の再発予防のためのペニシリン
Penicillin to Prevent Recurrent Leg Cellulitis

K.S. Thomas and Others

背景

下肢蜂窩織炎は,よくみられる皮膚・皮下組織の細菌感染症である.われわれは,蜂窩織炎の再発予防を目的として,予防的低用量ペニシリンとプラセボを比較した.

方 法

英国およびアイルランドの 28 病院で下肢蜂窩織炎のエピソードを 2 回以上有する患者を募集し,二重盲検無作為化対照試験を行った.無作為化はコンピュータで生成したコードに従って行い,試験薬(ペニシリン [250 mg,1 日 2 回] またはプラセボを 12 ヵ月間)は中央の薬局で調剤した.主要転帰は最初の再発までの期間とした.追跡期間は最長 3 年とした.再発リスクが 3 年間一定でなかったため,主要仮説は予防投与期間についてのみ評価した.

結 果

274 例を対象とした.患者背景は 2 群で類似していた.蜂窩織炎の最初の再発までの期間の中央値は,ペニシリン群では 626 日,プラセボ群では 532 日であった.予防投与期間中に,再発はペニシリン群では 136 例中 30 例(22%)でみられたのに対し,プラセボ群では 138 例中 51 例(37%)であり(ハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.86,P=0.01),1 件の蜂窩織炎の再発エピソード予防のための治療必要数は 5(95% CI 4~9)となった.介入なしの追跡期間中は,最初の再発の発生率に群間で差はなかった(2 群とも 27%).全体では,再発エピソードを起こした被験者数はペニシリン群のほうがプラセボ群よりも少なかった(119 対 164,傾向性の P=0.02).有害事象が発現した被験者数には,群間で有意差は認められなかった(ペニシリン群 37 例,プラセボ群 48 例;P=0.50).

結 論

再発性下肢蜂窩織炎の患者において,ペニシリンは,予防投与期間中は再発の予防に有効であったが,薬剤を中止すると予防効果は漸減した.(アクション・メディカル・リサーチから研究助成を受けた.PATCH I Controlled-Trials.com 番号:ISRCTN34716921)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1695 - 703. )