好酸球増加を伴う持続型喘息に対するデュピルマブ
Dupilumab in Persistent Asthma with Elevated Eosinophil Levels
S. Wenzel and Others
中等症~重症の喘息は,依然として治療が困難である.われわれは,好酸球増加を伴う中等症~重症の持続型喘息患者において,インターロイキン-4 受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体であるデュピルマブ(dupilumab,SAR231893/REGN668)の有効性と安全性を検討した.
中等症~重症の持続型喘息を有し,血中好酸球数 300/μL 以上または喀痰中好酸球 3%以上で,中用量~高用量の吸入グルココルチコイドと長時間作用性β刺激薬(LABA)を併用している患者を登録した.デュピルマブ(300 mg)またはプラセボを週に 1 回皮下投与した.患者には,4 週目に LABA を中止し,6 週目から 9 週目にかけて吸入グルココルチコイドを漸減し,中止するよう指示した.試験薬の投与は 12 週間,あるいはプロトコールで規定した喘息の増悪を認めるまで行った.主要エンドポイントは喘息の増悪とし,副次的エンドポイントは一連の喘息管理指標とした.2 型ヘルパー T 細胞(Th2)に関連するさまざまなバイオマーカーに対する効果や,安全性と忍容性についても検討した.
52 例がデュピルマブ群に,52 例がプラセボ群に割り付けられた.患者背景は両群で類似していた.喘息の増悪は,デュピルマブ群 3 例(6%),プラセボ群 23 例(44%)に認められ,デュピルマブにより増悪が 87%減少した(オッズ比 0.08,95%信頼区間 0.02~0.28,P<0.001).肺機能指標,喘息管理指標のほとんどに有意な改善が認められた.Th2 に誘発される炎症に関連するバイオマーカーは,デュピルマブにより低下した.注射部位反応,鼻咽頭炎,悪心,頭痛の発生頻度は,プラセボ群よりもデュピルマブ群のほうが高かった.
好酸球増加を伴う中等症~重症の持続型喘息で,吸入グルココルチコイドと LABA を使用している患者において,デュピルマブ療法は,プラセボと比較して,LABA と吸入グルココルチコイドを中止した場合に喘息の増悪頻度がより低くなることと関連しており,肺機能の改善と,Th2 に関連する炎症マーカーの低下が認められた.(Sanofi 社,Regeneron Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01312961)