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February 7, 2013 Vol. 368 No. 6

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心臓弁石灰化と大動脈弁狭窄症の遺伝的関連
Genetic Associations with Valvular Calcification and Aortic Stenosis

G. Thanassoulis and Others

背景

弁石灰化は,臨床的な弁膜疾患の重要な前駆病変であるが,遺伝子の関与に関する情報は限られている.

方 法

CT スキャンで検出された大動脈弁石灰化(参加者 6,942 例)と僧帽弁輪石灰化(3,795 例)について,ゲノムワイド関連解析を行った.この解析では,ゲノム疫学における心臓・加齢研究コホート(Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology)コンソーシアムに参加している 3 つのコホートの,ヨーロッパ系白人を対象とした(発見集団).結果は,CT で弁石灰化が検出された患者や,臨床的な大動脈弁狭窄症を有する患者から成る独立したコホートで再現した.

結 果

リポ蛋白(a)(LPA)遺伝子座の 1 つの SNP(rs10455872)が,大動脈弁石灰化についてゲノムワイド有意水準に達し(対立遺伝子あたりのオッズ比 2.05,P=9.0×10-10),この結果は,別のヨーロッパ系白人,アフリカ系アメリカ人,ヒスパニック系アメリカ人のコホートで再現された(すべての比較について P<0.05).LPA 遺伝子型から予測される,遺伝的に決定された Lp(a)値にも大動脈弁石灰化との関連が認められ,Lp(a)の原因的役割が支持された.前向き解析では,LPA 遺伝子型に,スウェーデンの大規模コホートでは,大動脈弁狭窄症の発症との関連(対立遺伝子あたりのハザード比 1.68,95%信頼区間 [CI] 1.32~2.15)と,大動脈弁置換術との関連(ハザード比 1.54,95% CI 1.05~2.27)が認められた.大動脈弁狭窄症の発症との関連は,デンマークの独立したコホートでも再現された.炎症性遺伝子 IL1F9 の近傍の 2 つの SNP(rs17659543,rs13415097)が,僧帽弁輪石灰化に関してゲノムワイド有意水準に達したが(それぞれ P=1.5×10-8,P=1.8×10-8),この結果の再現性は一貫していなかった.

結 論

Lp(a)値によってもたらされる LPA 遺伝子座の遺伝的変異が,複数の民族集団において大動脈弁石灰化に関連するとともに,臨床的な大動脈弁狭窄症の発症に関連する.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 503 - 12. )