October 10, 2013 Vol. 369 No. 15
QRS 幅の狭い心不全に対する心臓再同期療法
Cardiac-Resynchronization Therapy in Heart Failure with a Narrow QRS Complex
F. Ruschitzka and Others
心臓再同期療法(CRT)により,QRS 幅の広い慢性収縮期心不全における障害と死亡が減少する.機械的同期不全は QRS 幅の狭い患者でも生じることから,こうした患者には CRT が有用である可能性が示唆されている.
115 施設が参加した無作為化試験において,ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類 III 度または IV 度の心不全を有し,左室駆出率 35%以下,QRS 幅 130 msec 未満,かつ心エコーで左室同期不全が認められた患者における CRT の効果を検討した.すべての患者にデバイスを植え込み,CRT 機能のスイッチを入れる群と入れない群とに無作為に割り付けた.主要有効性転帰は,全死因死亡または心不全悪化による最初の入院の複合とした.
データ・安全性モニタリング委員会の勧告に従い,試験は 2013 年 3 月 13 日に無益性のため中止された.試験中止時に無作為化されていた 809 例は,平均 19.4 ヵ月追跡されていた.主要転帰は,CRT 群では 404 例中 116 例で発生したのに対し,対照群では 405 例中 102 例に発生した(28.7% 対 25.2%,ハザード比 1.20,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.57,P=0.15).死亡は,CRT 群 45 例,対照群 26 例であった(11.1% 対 6.4%,ハザード比 1.81,95% CI 1.11~2.93,P=0.02).
収縮期心不全で QRS 幅が 130 msec 未満の患者では,CRT を行っても死亡率や心不全による入院率が低下することはなく,死亡率が上昇する可能性がある.(Biotronik 社,GE Healthcare 社から研究助成を受けた.EchoCRT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00683696)