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November 7, 2013 Vol. 369 No. 19

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生殖補助医療による妊娠で出生した児における癌のリスク
Cancer Risk among Children Born after Assisted Conception

C.L. Williams and Others

背景

生殖補助医療による妊娠で出生した児における癌の発生率について,正確な人口ベースのデータが必要とされている.

方 法

15 歳までに癌を発症した児の数を明らかにするため,1992~2008 年に英国でドナーが関与しない生殖補助医療による妊娠で出生したすべての児のデータを,英国の小児腫瘍全国登録(NRCT)のデータとリンクさせた.潜在的な介在因子と調節因子である性別,診断時の年齢,出生体重,単胎出生か多胎出生か,出産児数,親の年齢,生殖補助医療の種類,親の不妊の原因などについて層別化を行い,コホートにおける癌発生率を,同期間の英国における人口ベースの発生率と比較した.

結 果

コホートは,生殖補助医療による妊娠で出生した児 106,013 例で構成された(観察対象 700,705 人年).平均追跡期間は 6.6 年であった.全体で 108 例の癌が同定されたのに対し,期待発生数は 109.7 であった(標準化発生比 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.19,P=0.87).生殖補助医療による妊娠は,白血病,神経芽腫,網膜芽腫,中枢神経系腫瘍,腎腫瘍・胚細胞腫瘍のリスクの上昇に関連しなかったが,肝芽腫(標準化発生比 3.64,95% CI 1.34~7.93,P=0.02,絶対過剰リスク 100 万人年あたり 6.21 例)と横紋筋肉腫(標準化発生比 2.62,95% CI 1.26~4.82,P=0.02,絶対過剰リスク 100 万人年あたり 8.82 例)のリスク上昇には関連し,発生数は肝芽腫 6 例,横紋筋肉腫 10 例であった.肝芽腫の過剰リスクは低出生体重と関連した.

結 論

17 年の調査期間中に,生殖補助医療による妊娠で出生した英国人の児における癌全体のリスク上昇は認められなかった.肝芽腫と横紋筋肉腫のリスク上昇が認められたが,絶対リスクは小さかった.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1819 - 27. )