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September 5, 2013 Vol. 369 No. 10

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初回経皮的冠動脈インターベンションを受ける患者の病院到着からバルーン拡張までの時間と死亡率
Door-to-Balloon Time and Mortality among Patients Undergoing Primary PCI

D.S. Menees and Others

背景

ST 上昇型心筋梗塞に対する現在のガイドラインでは,初回経皮的冠動脈インターベンション(プライマリ PCI)を受ける患者に推奨される door-to-balloon time(病院到着からバルーン拡張までの時間)は 90 分以内である.door-to-balloon time は実績の指標となり,地域および全米の医療の質の改善を目指す取組みの焦点である.しかし,door-to-balloon time の全米規模での改善によって死亡率が低下しているかは明らかになっていない.

方 法

CathPCI 登録に参加している 515 病院において,2005 年 7 月~2009 年 6 月に ST 上昇型心筋梗塞に対しプライマリ PCI を受けるために入院した 96,738 例のデータを使用して,door-to-balloon time と院内死亡率の年間動向を解析した.さらに,CathPCI 登録にリンクされているメディケアのデータセットを用いたサブグループ解析により,30 日死亡率を算定した.

結 果

平均 door-to-balloon time は,2005 年 7 月~2006 年 6 月の 12 ヵ月間は 83 分であったのが,2008 年 7 月~2009 年 6 月の 12 ヵ月間には 67 分となり,有意に短縮した(P<0.001).同様に,door-to-balloon time が 90 分以内であった患者の割合は,初年度は 59.7%であったのが,最終年度には 83.1%へと増加した(P<0.001).door-to-balloon time が改善されたにもかかわらず,全般的な未補正院内死亡率(2005~06 年 4.8%,2008~09 年 4.7%;傾向性の P=0.43)やリスク補正院内死亡率(2005~06 年 5.0%,2008~09 年 4.7%;P=0.34)に有意な変化は認められず,未補正 30 日死亡率にも有意差は認められなかった(P=0.64).

結 論

全米で,ST 上昇型心筋梗塞でプライマリ PCI を受けた患者の door-to-balloon time は有意に改善されたが,院内死亡率に実質的な変化は認められなかった.これらのデータから,この患者集団の院内死亡率を低下させるにはまた別の戦略が必要であることが示唆される.(米国心臓病学会財団の全米心血管データ登録から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 901 - 9. )