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September 5, 2013 Vol. 369 No. 10

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全米肺癌スクリーニング試験における 2 回の癌発生スクリーニングの成績
Results of the Two Incidence Screenings in the National Lung Screening Trial

D.R. Aberle and Others

背景

全米肺癌スクリーニング試験(NLST)は,低線量ヘリカル CT を用いた年 1 回のスクリーニングを 3 回(T0,T1,T2)実施することにより,胸部 X 線検査と比較して,肺癌による死亡率を低下させられるかどうかを検討する目的で行われた.今回は,最初の 2 回の癌発生スクリーニング(T1 および T2)から得られた詳細な知見を報告する.

方 法

参加者のスクリーニングプロトコール遵守率,スクリーニング結果と以降の診断検査結果,肺癌例の特徴,第一選択治療の評価を行い,2 つのスクリーニング方法の精度を推定した.

結 果

T1 と T2 のスクリーニングで結果が陽性であったのは,低線量 CT 群ではそれぞれ参加者の 27.9%と 16.8%,X 線群ではそれぞれ 6.2%と 5.0%であった.低線量 CT 群では,T1 における感度は 94.4%,特異度は 72.6%,陽性適中率は 2.4%,陰性適中率は 99.9%であり,T2 では陽性適中率が 5.2%に上昇した.X 線群では,T1 における感度は 59.6%,特異度は 94.1%,陽性適中率は 4.4%,陰性適中率は 99.8%であり,T2 では感度と陽性適中率が上昇した.病期が判明した肺癌のうち,低線量 CT 群の T1 では 87 例(47.5%)が IA 期,57 例(31.1%)が III 期または IV 期であり,X 線群の T1 では 31 例(23.5%)が IA 期,78 例(59.1%)が III 期または IV 期であった.病期分布におけるこの群間差は T2 でも持続していた.

結 論

低線量 CT は,X 線と比較して早期肺癌発見の感度が高かったが,測定された陽性適中率は低かった.低線量 CT による年 1 回の癌発生スクリーニングを 2 回実施することで,X 線と比較して進行期癌の診断数が減少し,早期肺癌の診断数が増加した.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.NLST ClinicalTrials.gov 番号:NCT00047385)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 920 - 31. )