April 24, 2014 Vol. 370 No. 17
敗血症性ショック患者の血圧目標値高値と低値の比較
High versus Low Blood-Pressure Target in Patients with Septic Shock
P. Asfar and Others
敗血症救命キャンペーン(Surviving Sepsis Campaign)のガイドラインでは,敗血症性ショック患者に対する初期蘇生時の平均動脈圧の目標値を最低 65 mmHg とすることが推奨されている.しかし,この目標値が,より高い目標値と比較して有効であるのかそうでないのかは明らかにされていない.
多施設共同非盲検試験において,敗血症性ショック患者 776 例を,平均動脈圧目標値 80~85 mmHg で蘇生を行う群(高目標値群)と,65~70 mmHg で蘇生を行う群(低目標値群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は 28 日死亡率とした.
28 日の時点で高目標値群 388 例中 142 例(36.6%),低目標値群 388 例中 132 例(34.0%)が死亡し,死亡率に群間で有意差は認められなかった(高目標値群のハザード比 1.07,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.38,P=0.57).90 日の時点でも有意差は認められず,死亡数はそれぞれ 170 例(43.8%),164 例(42.3%)であった(ハザード比 1.04,95% CI 0.83~1.30,P=0.74).重篤な有害事象の発生率に群間で有意差は認められなかった(それぞれ 74 件 [19.1%] と 69 件 [17.8%],P=0.64).しかし,心房細動の新規診断率は,高目標値群のほうが低目標値群よりも高かった.慢性高血圧患者では,腎代替療法を必要とした割合は高目標値群のほうが低目標値群よりも低かったが,腎代替療法は死亡率の差に関連しなかった.
敗血症性ショック患者の蘇生において,平均動脈圧の目標値を 80~85 mmHg としても,65~70 mmHg とした場合と比較して,28 日死亡率にも 90 日死亡率にも有意差は生じなかった.(フランス保健省から研究助成を受けた.SEPSISPAM 試験 Clinical Trials.gov 登録番号:NCT01149278)