閉塞性睡眠時無呼吸に対する持続陽圧呼吸と酸素補給との比較
CPAP versus Oxygen in Obstructive Sleep Apnea
D.J. Gottlieb and Others
閉塞性睡眠時無呼吸は,高血圧,炎症,心血管リスク上昇と関連する.持続陽圧呼吸(CPAP)によって血圧は低下するが,遵守が不十分である場合が多く,従来の危険因子の管理による利益を上回るかどうかは明らかにされていない.間欠的な低酸素血症が睡眠時無呼吸に続発する心血管疾患の基礎にある可能性があることから,夜間酸素補給と CPAP が心血管リスクマーカーに及ぼす効果を評価した.
無作為化対照試験において,循環器科から,心血管疾患,または複数の心血管危険因子を有する患者を登録した.ベルリン質問票を用いて閉塞性睡眠時無呼吸のスクリーニングを行い,診断を確定するため在宅睡眠検査を行った.無呼吸低呼吸指数が 15~50 回/時であった患者を,睡眠衛生と健康的な生活習慣に関する教育のみを行う群(対照群)と,教育に加えて CPAP を行う群,夜間酸素補給を行う群に無作為に割り付けた.心血管リスクを,ベースラインと 12 週間の試験治療後に評価した.主要評価項目は 24 時間平均動脈圧とした.
無作為化された 318 例のうち,ベースラインと追跡調査の両時点で自由行動下血圧を測定しえたのは 281 例(88%)であった.12 週の時点での CPAP 群の 24 時間平均動脈圧は対照群よりも低く(-2.4 mmHg,95%信頼区間 [CI] -4.7~-0.1,P=0.04),また酸素補給群よりも低かった(-2.8 mmHg,95% CI -5.1~-0.5,P=0.02).対照群と酸素補給群とのあいだで 24 時間平均動脈圧に有意差は認められなかった.欠測データの影響を評価するために複数の外挿法を用いて感度分析を行ったが,主要解析の結果は変化しなかった.
心血管疾患,または複数の心血管危険因子を有する患者において,閉塞性睡眠時無呼吸に対する CPAP 療法により血圧が有意に低下したが,夜間酸素補給ではそのような低下はみられなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.HeartBEAT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01086800)