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January 2, 2014 Vol. 370 No. 1

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アフリカにおける HIV 感染児に対する長期コ・トリモキサゾール投与の無作為化試験
A Randomized Trial of Prolonged Co-trimoxazole in HIV-Infected Children in Africa

M. Bwakura-Dangarembizi and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染児においては,抗レトロウイルス療法(ART)の前にコ・トリモキサゾール(固定用量トリメトプリム・スルファメトキサゾール合剤)を予防投与することで罹患率が減少する.われわれは,サハラ以南のアフリカで長期 ART を受けている小児および青年が,コ・トリモキサゾールを中止することが可能かどうかを検討した.

方 法

ウガンダとジンバブエの小児および青年を対象に,非盲検のコ・トリモキサゾール連日投与の中止と継続とを比較する無作為化非劣性試験を行った.3 歳以上で,ART を受けている期間が 96 週間を超えており,殺虫剤処理した蚊帳を使用しており(マラリア流行地域の場合),Pneumocystis jirovecii 肺炎を発症したことがない児を適格とした.複合主要エンドポイントは入院または死亡,およびグレード 3 または 4 の有害事象とした.

結 果

ART を中央値で 2.1 年間(四分位範囲 1.8~2.3)受けていた 758 例を,コ・トリモキサゾール予防投与を中止する群(382 例)と継続する群(376 例)に無作為に割り付けた.年齢中央値は 7.9 歳(四分位範囲 4.6~11.1),CD4 T 細胞の割合の中央値は 33%(四分位範囲 26~39)であった.中止群では,継続群と比較して,入院や死亡の発生率が高かった(72 例 [19%] 対 48 例 [13%],ハザード比 1.64,95%信頼区間 [CI] 1.14~2.37,P=0.007;非劣性は示されなかった).年齢による差を示す証拠はなかった(交互作用について P=0.93).中止群の 2 例(1%)と継続群の 3 例(1%)が死亡した.中止群における入院のほとんどは,マラリア(49 件 対 継続群 21 件),またはマラリア以外の感染症(53 件 対 25 件)によるもので,とくに肺炎,敗血症,髄膜炎が原因であった.グレード 3 または 4 の有害事象の発生率は 2 群で同程度であったが(ハザード比 1.20,95% CI 0.83~1.72,P=0.33),グレード 4 の有害事象は中止群でより多く発生し(ハザード比 2.04,95% CI 0.99~4.22,P=0.05),貧血がもっとも多くを占めた(12 件 対 継続群 2 件).

結 論

96 週間の ART 後にコ・トリモキサゾール予防投与を継続したほうが,中止した場合と比較して,マラリアによる入院とマラリアとは無関係の感染症による入院の両方が少なかったという点で有益であった.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.ARROW Current Controlled Trials 番号:ISRCTN24791884)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 41 - 53. )