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February 13, 2014 Vol. 370 No. 7

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悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検とリンパ節経過観察との比較試験の最終報告
Final Trial Report of Sentinel-Node Biopsy versus Nodal Observation in Melanoma

D.L. Morton and Others

背景

限局性悪性黒色腫の病期診断に用いられる低侵襲手技であるセンチネルリンパ節生検を第 3 相試験において評価した.

方 法

原発性皮膚悪性黒色腫患者 2,001 例を,悪性黒色腫の広範切除を行い,リンパ節の経過観察にてリンパ節再発が認められた場合にリンパ節郭清を行う群(観察群)と,広範切除とセンチネルリンパ節生検を行い,生検でリンパ節転移が発見された場合ただちにリンパ節郭清を行う群(生検群)に無作為に割り付け,転帰を評価した.

結 果

試験対象集団全体の 10 年疾患特異的生存率に,治療に関連する有意差は認められなかった(リンパ節転移がみられた例で20.8%,みられなかった例で 79.2%).10 年無病生存率の平均(±SE)は,生検群で観察群と比較して有意に改善し,悪性黒色腫の厚さが中等度(1.20~3.50 mm と定義)の患者では 71.3±1.8% 対 64.7±2.3%(再発または転移のハザード比 0.76,P=0.01)であり,厚い(3.50 mm 超と定義)患者では 50.7±4.0% 対 40.5±4.7%(ハザード比 0.70,P=0.03)であった.悪性黒色腫が中等度の厚さの患者の 10 年疾患特異的生存率は,転移がみられた例では 62.1±4.8%であったのに対し,転移がみられなかった例では 85.1±1.5%であった(悪性黒色腫による死亡のハザード比 3.09,P<0.001).悪性黒色腫が厚い患者の 10 年疾患特異的生存率は,転移がみられた例では 48.0±7.0%,転移がみられなかった例では 64.6±4.9%であった(ハザード比 1.75,P=0.03).悪性黒色腫の厚さが中等度で,リンパ節転移がみられた例では,生検に基づく管理によって,10 年遠隔無病生存率(遠隔転移のハザード比 0.62,P=0.02)と,10 年疾患特異的生存率(悪性黒色腫による死亡のハザード比 0.56,P=0.006)が改善した.生検群でのみリンパ節の状態が最初にわかっていたという事実を説明するために行った,加速故障時間モデルを用いての潜在的サブグループ解析においても,治療の有意な利益が認められた.

結 論

厚さが中等度,または厚い原発性悪性黒色腫の病期診断を生検に基づいて行うことにより,重要な予後情報が得られ,即時のリンパ節完全郭清から利益が得られる可能性のあるリンパ節転移患者が同定される.生検に基づく管理によって,全患者の無病生存期間が延長し,中等度の厚さの悪性黒色腫からリンパ節転移をきたした例では,遠隔無病生存期間と疾患特異的生存期間が延長する.(米国国立がん研究所,米国国立衛生研究所,オーストラリア・ニュージーランド悪性黒色腫試験グループから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00275496)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 599 - 609. )