The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 11, 2014 Vol. 371 No. 11

ST 上昇型心筋梗塞患者に対する病院到着前のチカグレロル投与
Prehospital Ticagrelor in ST-Segment Elevation Myocardial Infarction

G. Montalescot and Others

背景

直接作用型血小板 P2Y12 受容体拮抗薬であるチカグレロル(ticagrelor)は,ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に病院到着前に投与すると,主要有害心血管イベントの発生率を低下させることができる.病院到着前のチカグレロル投与によって,冠動脈再灌流と臨床転帰の改善が可能かどうかは不明である.

方 法

STEMI が持続中で持続時間が 6 時間未満の患者 1,862 例を対象とした多国間多施設共同無作為化二重盲検試験において,チカグレロルの病院到着前(救急車内)投与と院内(カテーテル検査室内)投与とを比較した.複合主要評価項目は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前に ST 上昇が 70%以上軽減しなかった患者の割合と,初回血管造影時に梗塞関連動脈の心筋梗塞血栓溶解療法後の血流(TIMI)分類がグレード 3 ではなかった患者の割合とした.副次的評価項目は,30 日目の時点での主要有害心血管イベントの発生率,明確なステント血栓症の発生率などとした.

結 果

無作為化から血管造影までの時間の中央値は 48 分であり,2 つの治療戦略における時間の中央値の差は 31 分であった.2 つの複合主要評価項目に,病院到着前投与群と院内投与群とで有意差は認められなかった.PCI 後に ST 上昇の 70%以上の軽減が認められなかった(副次的評価項目)患者は,それぞれ 42.5%,47.5%と報告された.主要有害心血管イベントの発生率には群間で有意差は認められなかった.明確なステント血栓症の発生率は,病院到着前投与群のほうが院内投与群よりも低かった(最初の 24 時間で 0% 対 0.8%,30 日の時点で 0.2% 対 1.2%).主要な出血イベントの発生率は,用いた出血の定義にかかわらず,両群とも低く,ほぼ同じであった.

結 論

急性 STEMI 患者に対する病院到着前のチカグレロル投与は安全であると考えられるが,PCI 前の冠動脈再灌流は改善されなかった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ATLANTIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01347580)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1016 - 27. )