October 30, 2014 Vol. 371 No. 18
包括支払い方式導入後 4 年の時点での医療支出と診療の質の変化
Changes in Health Care Spending and Quality 4 Years into Global Payment
Z. Song and Others
総額予算制度が導入されて 3 年目以降の医療支出と診療の質については,明らかにされていない.われわれは,Blue Cross Blue Shield of Massachusetts 社の Alternative Quality Contract(AQC)について,導入後の最初の 4 年間における支出と質の指標を評価した.
われわれは,2009~12 年に主治医が属する組織が AQC を締結した患者の医療支出と診療の質を,対照とした州の患者と比較した.支出の変化を,年,サービスの種類,医療施設,リスク契約管理の経験,価格対利用ごとに調査し,推移と転帰の質を評価した.
2009 年の AQC コホートにおいて,4 年間で請求のあった医療支出の増加は,対照コホートと比較して,患者 1 例につき四半期あたり平均 62.21 ドル少なかった(P<0.001).この額は,2009 年の AQC コホートにおける AQC 後の支出レベル平均の割合として算出した場合,6.8%の節約に等しい.同様に,2010 年,2011 年,2012 年のコホートにおける 2012 年末までの節約は,それぞれ平均 8.8%(P<0.001),9.1%(P<0.001),5.8%(P=0.04)であった.請求における節約は,外来,および治療処置,画像撮影,検査に集中しており,価格の低下と利用の減少によって説明されるものであった.2009~11 年の期間では,医療提供者に対するインセンティブ支払いが請求における節約を上回っていたが,2012 年には請求における節約がインセンティブ支払いを上回り,正味の節約となった.AQC コホートにおける質の向上は概して,ニューイングランド地方の他の州および米国全体の質の向上を上回っていた.
他の州の同等の集団と比較して,マサチューセッツ州の AQC 加入者では,4 年後の時点での支出の増加が少なく,概して質の向上が大きかった.マサチューセッツ州において,とくに調査期間後半では他の要因が寄与していた可能性があるが,質に対するインセンティブを伴う総額予算制度契約は,支出の抑制と質の向上に役立つ,診療パターンの変化をもたらす可能性がある.(コモンウェルス基金ほかから研究助成を受けた.)