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November 20, 2014 Vol. 371 No. 21

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1 型糖尿病における血糖コントロールと過剰死亡
Glycemic Control and Excess Mortality in Type 1 Diabetes

M. Lind and Others

背景

血糖コントロールのレベルの異なる 1 型糖尿病患者集団における,全死因死亡および心血管系の原因による死亡の過剰リスクは明らかにされていない.われわれは,スウェーデン人の糖尿病患者集団において,血糖コントロールのレベル別に過剰死亡リスクを明らかにする目的で,登録に基づく観察研究を実施した.

方 法

スウェーデンの全国糖尿病登録に 1998 年 1 月 1 日以降に登録された 1 型糖尿病患者を対象とした.患者 1 例に対し対照 5 例を一般集団から無作為に選択し,年齢,性別,県をマッチさせた.スウェーデンの死因別死亡登録を用いて,2011 年 12 月 31 日まで患者と対照を追跡した.

結 果

ベースラインの平均年齢は,糖尿病患者群 35.8 歳,対照群 35.7 歳であり,女性の割合は各群 45.1%であった.平均追跡期間は,糖尿病患者群 8.0 年,対照群 8.3 年であった.全死因死亡の発生数は,糖尿病患者群 33,915 例中 2,701 例(8.0%)に対し,対照群 169,249 例中 4,835 例(2.9%)であり(補正ハザード比 3.52,95%信頼区間 [CI] 3.06~4.04),心血管系の原因による死亡率は,2.7%と 0.9%であった(補正ハザード比 4.60,95% CI 3.47~6.10).糖化ヘモグロビン値別にみた全死因死亡の,糖尿病患者群の対照群に対する多変量補正ハザード比は,糖化ヘモグロビン値 6.9%以下(52 mmol/mol 以下)で 2.36(95% CI 1.97~2.83),7.0~7.8%(53~62 mmol/mol)で 2.38(95% CI 2.02~2.80),7.9~8.7%(63~72 mmol/mol)で 3.11(95% CI 2.66~3.62),8.8~9.6%(73~82 mmol/mol)で 3.65(95% CI 3.11~4.30),9.7%以上(83 mmol/mol 以上)で 8.51(95% CI 7.24~10.01)であり,心血管系の原因による死亡のハザード比は,それぞれ 2.92(95% CI 2.07~4.13),3.39(95% CI 2.49~4.61),4.44(95% CI 3.32~5.96),5.35(95% CI 3.94~7.26),10.46(95% CI 7.62~14.37)であった.

結 論

この登録に基づく観察研究では,糖化ヘモグロビン値が 6.9%以下の 1 型糖尿病患者における全死因死亡や心血管系の原因による死亡のリスクは,マッチさせた対照の 2 倍であった.(スウェーデン医学会ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1972 - 82. )