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July 3, 2014 Vol. 371 No. 1

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APOC3 の機能喪失変異,トリグリセライド,および冠動脈疾患
Loss-of-Function Mutations in APOC3, Triglycerides, and Coronary Disease

The TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project

背景

血漿トリグリセライド値は遺伝性の場合があり,冠動脈心疾患のリスクと相関する.ヒトゲノムの蛋白コード領域(エクソーム)の配列決定によって,表現型に大きな影響を及ぼすまれな変異が同定される可能性がある.

方 法

「エクソーム配列決定プロジェクト(Exome Sequencing Project)」のヨーロッパ系,アフリカ系の参加者 3,734 例それぞれにおいて,18,666 遺伝子の蛋白コード領域の配列決定を行った.コード配列のまれな変異が,個別にまたは遺伝子内で凝集して,血漿トリグリセライド値と関連するかどうかを明らかにする目的で検査を行った.トリグリセライド値との関連が認められた変異については,110,970 例を対象に冠動脈心疾患のリスクとの関連を評価した.

結 果

アポリポ蛋白 C3 をコードする遺伝子(APOC3)のまれな変異の凝集が,血漿トリグリセライド値の低下と関連した.この結果をもたらした 4 つの変異のうち 3 つは機能喪失変異であり,1 つがナンセンス変異(R19X),2 つがスプライス部位変異(IVS2+1G→A,IVS3+1G→T)であった.4 つ目はミスセンス変異(A43T)であった.150 例に約 1 例が,これら 4 つの変異のうち 1 つ以上のヘテロ接合体を保有していた.変異保有者のトリグリセライド値は,非保有者よりも 39%低く(P<1×10-20),保有者の血中 APOC3 値は,非保有者よりも 46%低かった(P=8×10-10).まれな APOC3 変異のいずれかを保有する 498 例では, 冠動脈心疾患のリスクが非保有者 110,472 例よりも 40%低かった(オッズ比 0.60,95%信頼区間 0.47~0.75,P=4×10-6).

結 論

APOC3 機能を阻害するまれな変異が,血漿トリグリセライド値の低下,および APOC3 値の低下と関連した.これらの変異の保有者では,冠動脈心疾患のリスクが低いことが認められた.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 22 - 31. )