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August 21, 2014 Vol. 371 No. 8

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大脳皮質奇形における体細胞変異
Somatic Mutations in Cerebral Cortical Malformations

S.S. Jamuar and Others

背景

遺伝性疾患に体細胞変異が果たす役割への認識が高まっているが,神経発達障害において体細胞変異が認められる割合と,体細胞モザイクを検出するための最適な技術に関する系統的な評価はなされていない.

方 法

脳奇形との関連について既知の遺伝子と候補遺伝子専用のパネルを用いて,脳奇形を有する 158 例の白血球由来 DNA 検体について標的高カバー率配列決定(深度 200×以上)を行った.患者の内訳は,二重皮質症候群(皮質下帯状異所性灰白質)30 例,巨脳症を伴う多小脳回症 20 例,脳室周囲結節性異所性灰白質 61 例,脳回肥厚症 47 例であった.候補変異の妥当性の検証にはサンガー法による配列決定を行い,異なる読取深度で認められた多様体については,サブクローニング後にコロニー配列決定を行った.

結 果

27 例で妥当性の検証された原因変異が認められた(17%,表現型によって 10~30%).この 27 例のうち,体細胞変異は 8 例(30%)で認められ,主に二重皮質症候群患者(変異が認められたのは DCXLIS1),脳室周囲結節性異所性灰白質患者(FLNA),脳回肥厚症患者(TUBB2B)であった.検出された体細胞変異のうち,5 つ(63%)は従来のサンガー法による配列決定では検出できなかったが,サブクローニングおよびサブクローニング後の DNA の配列決定によって検証された. 脳回肥厚症患者では, 候補遺伝子である DYNC1H1KIF5C,およびその他のキネシン遺伝子に,原因である可能性の高い変異が認められた.

結 論

標的配列決定は,脳奇形患者における体細胞変異の検出に有用であることが明らかにされた.神経精神疾患における体細胞変異の評価において,高カバー率配列決定パネルは,全エクソーム配列決定,全ゲノム配列決定の重要な補完手段となる.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 733 - 43. )