The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

September 11, 2014 Vol. 371 No. 11

心不全に対するアンジオテンシン–ネプリライシン阻害薬とエナラプリルとの比較
Angiotensin–Neprilysin Inhibition versus Enalapril in Heart Failure

J.J.V. McMurray and Others

背景

われわれは,駆出率が低下した心不全患者において,アンジオテンシン受容体–ネプリライシン阻害薬 LCZ696 をエナラプリルと比較した.先行試験では,エナラプリルによってそのような患者の生存が改善している.

方 法

二重盲検試験において,ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類 II 度,III 度,IV 度の心不全で駆出率が 40%以下の患者 8,442 例を,推奨される治療に加えて,LCZ696(200 mg,1 日 2 回)を投与する群と,エナラプリル(10 mg,1 日 2 回)を投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,心血管死亡または心不全による入院の複合としたが,この試験は,心血管死亡率の群間差の検出を目的としてデザインされた.

結 果

追跡調査期間中央値 27 ヵ月の時点で,LCZ696 の圧倒的な有益性を示す境界を越えたため,事前に定めた規定に基づき試験は早期に中止された.試験終了の時点で,主要評価項目は,LCZ696 群の 914 例(21.8%)とエナラプリル群の 1,117 例(26.5%)に発生していた(LCZ696 群のハザード比 0.80,95%信頼区間 [CI] 0.73~0.87,P<0.001).LCZ696 群の 711 例(17.0%)とエナラプリル群の 835 例(19.8%)が死亡した(全死因死亡のハザード比 0.84,95% CI 0.76~0.93,P<0.001).そのうち,LCZ696 群の 558 例(13.3%)とエナラプリル群の 693 例(16.5%)は心血管死亡であった(ハザード比 0.80,95% CI 0.71~0.89,P<0.001).エナラプリルと比較して,LCZ696 によって,心不全による入院のリスクも 21%低下し(P<0.001),心不全による症状と身体的制限が軽減された(P=0.001).LCZ696 群では,エナラプリル群と比較して,低血圧が発現した患者の割合と重篤でない血管性浮腫が発現した患者の割合が高かったが,腎機能障害,高カリウム血症,咳嗽が発現した患者の割合は低かった.

結 論

LCZ696 は,死亡リスクと心不全による入院リスクの低減において,エナラプリルよりも優れていた.(Novartis 社から研究助成を受けた.PARADIGM-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01035255)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 993 - 1004. )