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March 26, 2015 Vol. 372 No. 13

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糖尿病黄斑浮腫に対するアフリベルセプト,ベバシズマブ,ラニビズマブの比較
Aflibercept, Bevacizumab, or Ranibizumab for Diabetic Macular Edema

The Diabetic Retinopathy Clinical Research Network

背景

糖尿病黄斑浮腫に対して,アフリベルセプト,ベバシズマブ,ラニビズマブのいずれかの硝子体内投与が行われているが,3 剤の有効性と安全性の比較は行われていない.

方 法

89 の臨床施設で,中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫を有する成人患者 660 例(平均年齢 61±10 歳)を,アフリベルセプト 2.0 mg 群(224 例),ベバシズマブ 1.25 mg 群(218 例),ラニビズマブ 0.3 mg 群(218 例)に無作為に割り付け,硝子体内投与した.試験薬は,プロトコールで規定したアルゴリズムに従い 4 週ごとに投与した.主要転帰は,1 年の時点での視力変化の平均とした.

結 果

ETDRS 視力(スコアの範囲は 0~100 で,高いほど視力が良好であることを示し,85 はスネレン視力 20/20 程度に相当)の,ベースラインから 1 年の時点までの改善の平均は,アフリベルセプト群 13.3,ベバシズマブ群 9.7,ラニビズマブ群 11.2 であった.アフリベルセプトによる改善は,他の 2 剤より大きかったが(アフリベルセプト 対 ベバシズマブでは P<0.001,アフリベルセプト 対 ラニビズマブでは P=0.03),この差はベースラインの視力がより低かったことに起因するものであったため,臨床的意義はなかった(相互作用について P<0.001).ベースラインの ETDRS 視力が 78~69(スネレン視力 20/32~20/40 に相当)(被験者の 51%)の場合,改善の平均はアフリベルセプト群 8.0,ベバシズマブ群 7.5,ラニビズマブ群 8.3 であった(それぞれの比較では P>0.50).ベースラインの ETDRS 視力が 69 未満(約 20/50 以下)の場合,改善の平均はアフリベルセプト群 18.9,ベバシズマブ群 11.8,ラニビズマブ群 14.2 であった(アフリベルセプト 対 ベバシズマブでは P<0.001,アフリベルセプト 対 ラニビズマブでは P=0.003,ラニビズマブ 対 ベバシズマブでは P=0.21).群間で,重篤な有害事象の発現率(P=0.40),入院率(P=0.51),死亡率(P=0.72),主要心血管イベントの発生率(P=0.56)に有意差は認められなかった.

結 論

アフリベルセプト,ベバシズマブ,ラニビズマブの硝子体内投与は,いずれも中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫を有する患者の視力を改善したが,効果の差はベースラインの視力に依存するものであった.ベースラインの視力低下が軽度であった場合,概して群間で明らかな差は認められなかった.ベースラインの視力がより低い場合には,アフリベルセプトが他の 2 剤よりも視力改善に有効であった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.Clinical Trials.gov 登録番号 NCT01627249)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1193 - 203. )