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January 15, 2015 Vol. 372 No. 3

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レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系阻害薬を服用中の高カリウム血症を伴う腎臓病患者に対するパチロマー
Patiromer in Patients with Kidney Disease and Hyperkalemia Receiving RAAS Inhibitors

M.R. Weir and Others

背景

高カリウム血症は死亡リスクを上昇させるため,高リスク患者ではレニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAAS)阻害薬の使用が制限される.われわれは,多施設共同前向き試験において,非吸収性カリウム吸着薬であるパチロマー(patiromer)の安全性と有効性を評価した.

方 法

RAAS 阻害薬を服用中で,血清カリウム値が 5.1~<6.5 mmol/L の慢性腎臓病(CKD)患者に,パチロマー(初回投与量は 4.2 g または 8.4 g を 1 日 2 回)を 4 週間投与した(初期治療期).初期治療期の主要有効性評価項目は,ベースラインから 4 週目までの血清カリウム値の変化の平均とした.4 週目の終了時に,適格例(ベースラインのカリウム値が 5.5~<6.5 mmol/L で,3.8~<5.1 mmol/L に低下した患者)を 8 週間の無作為化治療中止期に組み入れ,パチロマーを継続する群とプラセボへ切り替える群に無作為に割り付けた.無作為化治療中止期の主要有効性評価項目は,最初の 4 週間における血清カリウム値の変化の中央値の群間差とした.

結 果

初期治療期には,3 日目より後に予定されていた受診時にカリウム値の測定が 1 回以上行われた 237 例において,血清カリウム値の変化の平均(±SE)は -1.01±0.03 mmol/L であった(P<0.001).4 週目の時点で,患者の 76%(95%信頼区間 70~81)が目標値(3.8~<5.1 mmol/L)を達成していた.続く無作為化治療中止期には,107 例をパチロマー群(55 例)とプラセボ群(52 例)に無作為に割り付けた.この期間のベースラインからのカリウム値上昇の中央値は,プラセボ群のほうがパチロマー群よりも大きく(P<0.001),8 週目までに高カリウム血症(カリウム値≧5.5 mmol/L)の再発が認められた患者の割合は,プラセボ群 60%に対し,パチロマー群 15%であった(P<0.001).有害事象は軽度~中等度の便秘がもっとも頻度が高く(患者の 11%に発現),低カリウム血症は 3%に発現した.

結 論

RAAS 阻害薬を服用中の高カリウム血症を伴う CKD 患者において,パチロマーによる治療は血清カリウム値の低下に関連し,プラセボと比較して高カリウム血症の再発の減少にも関連した.(Relypsa 社から研究助成を受けた.OPAL-HK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01810939)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 211 - 21. )