January 15, 2015 Vol. 372 No. 3
米国におけるオピオイド鎮痛薬乱用の傾向と死亡率
Trends in Opioid Analgesic Abuse and Mortality in the United States
R.C. Dart and Others
米国では処方オピオイドによる治療がこの 20 年で大幅に増加しており,2010 年のオピオイド関連死亡は 16,651 件あった.これを受けて,米国政府,州,地域は何百もの介入を行っている.われわれは,2013 年までのデータを用いて,処方オピオイド鎮痛薬の流用および乱用の傾向を示す.
2002~13 年の処方オピオイド鎮痛薬;オキシコドン,ヒドロコドン(hydrocodone),ヒドロモルフォン(hydromorphone),フェンタニル,モルヒネ,トラマドールの 6 種類すべての製剤・剤形の流用と乱用の傾向を明らかにするため,「乱用・流用・依存症関連監視調査(RADARS)システム」の 5 つのプログラムを利用した.これらのプログラムでは,薬剤流用捜査員,中毒センター,薬物乱用治療センター,大学生からデータを収集している.
米国において,オピオイド鎮痛薬の処方は 2002 年から 2010 年にかけて大幅に増加したが,その後 2011 年から 2013 年にかけてはわずかに減少した.概して,RADARS システムのプログラムの報告では,オピオイドの流用率と乱用率は 2002 年から 2010 年にかけて大幅に上昇したが,その後 2011 年から 2013 年にかけては横ばいのまま,あるいは低下した.オピオイド関連死亡率も同様に,上昇後に低下した.大学生の非医学的使用に関する報告に有意な変化はみられなかった.
市販後調査では,処方オピオイドの流用および乱用は 2002 年から 2010 年のあいだに増加し,2011 年から 2013 年のあいだには横ばいのまま,あるいは減少したことが示された.これらの知見から,米国ではオピオイド鎮痛薬の乱用管理に進展がみられている可能性があることが示唆される.(デンバー保健病院局から研究助成を受けた.)